外見だけが建築じゃない! 素材からみる近代建築の3大巨匠

世界的に有名な建築家で日本の建築家たちにも多大な影響を与えた、ル・コルビジェ、ミース・ファンデルローエ、フランク・ロイド・ライト。この3人は、近代建築の三大巨匠とも呼ばれています。

 

 ル・コルビジェは、椅子やソファのデザインでも知られています。ミース・ファンデルローエも椅子が有名。フランク・ロイド・ライトも家具やグラフィックデザインでも活躍していました。建築家でありながら、暮らしのさまざまな分野でもデザイン力を発揮していたのです。たとえば、この3人の中でいえば、ル・コルビジェは、屋内外を問わず芸術的な空間を作り出すインテリアデザイン的要素の強い建築家だったようです。外観や構造など、3人の巨匠にはそれぞれ個性がありますが、中でも気になるのは、「素材」。彼らはデザインだけでなく、その「素材」にもこだわりがあったようです。

 

 

巨匠がこだわる「素材」とは

 ル・コルビジェの場合、フランスで歴史的建造物に指定されているサヴォワ邸では、当時新しい素材であった鉄筋コンクリートを使用。バスルームや螺旋(らせん)階段などには曲線が多用され、ゆったりとした印象の空間。鉄筋コンクリートという素材とそれが作り出す構造が生み出したモダニズムは、日本人建築家たちにも大きな影響を与えました。

 

 ミース・ファンデルローエはガラス素材を使用しています。鉄骨とガラスが創り出す建築は、シンプルでありながら、大きなインパクトを与えます。現代のオフィスのスタイルのお手本となったデザインといわれています。

 

 フランク・ロイド・ライトは、この3人の中では一番日本の建築に影響を与えたといえるかもしれません。ライトが手がけた兵庫県にあるヨドコウ迎賓館は、重要文化財に指定されています。ライトの作品は、全体にさまざまな素材が使用されています。テラコッタやタイル、石など、異なる素材が建築物と空間に豊かさを与えているのが特長です。

 

 

外見だけが建築ではない

 建築家というと、「未来の住空間の図面を引く」という工業的要素も多く、エンジニアに近い印象がありますが、この未来の空間を考えていく上で、屋内の構成要素というのは外せない部分です。いわゆる外観だけが建築ではない、ということなのでしょう。建築家を目指したいと思ったら、好きな建築物の素材にも注目してみると面白い発見がありそうです。

プロフィール



素材と骨格の個性が生きる建築を造る専門家。日大建築学科卒。東京電機大学教授、TIS & PARTNERS代表。i CO2 Lab. CEO。 CO2を吸収して瞬時に固まるCO2エコストラクチャーを開発。20カ国全都道府県で2千以上建築を実現。日本建築学会賞、IASS坪井賞、「横浜 赤レンガ倉庫」でユネスコ文化遺産保全のためのアジア太平洋遺産賞(日本初受賞)、 南三陸復興支援「あさひ幼稚園」の設計で、こども環境学会 こども環境デザイン賞受賞。

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