【これからの時代に必要な力】高校生の学びが変わる。保護者に必要な心構えは?

 これからの教育では、求められる資質・能力も、学ぶ内容も、学び方も大きく変わります。教育が変わるということは、すなわち、子どもの勉強に関わる親の意識も変わらなければならないということ。高校生の親世代に必要な心構えについて、ベネッセ教育総合研究所の黒木研史と中垣眞紀が解説します。

 

 

発表で、間違ったら恥ずかしい?

中垣:「間違えることは恥」という風潮は、なくなるのではないでしょうか。ICT(情報通信技術)を導入した教育現場では、タブレット端末などに入力した生徒の考えが電子黒板に順番に表示することができます。考えを書き込む際、発表するのが恥ずかしいという気持ちよりも、むしろ「自分の考えが映ったらうれしい」という気持ちが先に芽生えているようです。特に小学生には、そのような傾向が強く、「みんなにわかるように丁寧に書かなきゃ」というモチベーションにもつながっています。このような変化に伴って、私たちに求められることは、他者を尊重することはもちろん、友だちの意見や考えをよく聞くことで、友だちの考え良いところを発見したり、気づかなかった自分の考えを深めたりすることができる、ということを伝えていくことです。

 

黒木:日本でも2014年4月に『J-MOOC』(一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会)が開設され、無料で誰でも学習できるオンライン講座が次々と開講しています。このように、幅広い年齢の人たちが同じ講義を学ぶ機会も、これからは増えていくと予想されます。そうなると大人は、子どもたちを、一緒に学ぶ仲間として、一つの人格として尊重する必要があります。このような状況では、子どもから、大人目線では気づかない面白い考えが出てくるかもしれません。その際、大人のほうが、それを素直に聞く気持ちを持っていたいですね。子どもからも学ぶ、今までにはない学習環境になると思います。

 

 

親も学び続ける必要がある

黒木:今の保護者の世代の多くの方々は、「とりあえず勉強して、いい学校に入ったら、大人になって選択肢がたくさんあるよ」と言われていたと思います。ですから、その体験をもとに、「とりあえず勉強しなさい」と言ってしまいがちです。

 

中垣:「大学に入ること」をゴールに設定し、脇目も振らず受験勉強に心血を注ぐ。そういう努力だけでは、これからの時代にはあまり役に立たなくなるかもしれません。少子高齢化が一段と進み、生産年齢人口が減っていく未来の世の中が求める人材は、自ら課題を見つけ、自分の考えを持ち、他者と協働して解決に取り組む人材です。受験のために知識を詰め込むだけでは、そのような時代に対応できなくなると考えられます。

 

黒木:つまり、「自分には何ができるか」「自分はどうしたいのか」が一人ひとりに問われる時代です。受験に関係ない探求を制限し、本人の興味を考慮せず「つぶしが効く」学部を受験させるという発想は、あまり意味をなしません。

 

中垣:変化の激しいこれからの時代は、「何を学ぶか」だけではなく、「何のために、何を、どう学ぶか」が問われます。これは、子どもたちだけの問題ではなく、私たち大人にとっても求められる問いです。子どもたちが主体的な学びに向かうためには、私たち大人自身の「何のために、何を、どう学んでいるか」という姿勢を見せることも必要なのかもしれません。

 

 

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