大学のペーパー入試は不公平？ 「多様な選抜方法を」と中教審
大学入学者選抜と高校・大学教育の一体的改革を検討する中央教育審議会の論議が、12月中の答申に向けて固まりつつある。今回の改革は、入試「で」教育を変えるというより、高校や大学の教育が変わるために入試「も」変えるという性格のもの。大学入試はどのように変わろうとしているのだろう？ 教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に聞いた。
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「ペーパー入試が公平だと言われているが、本当にそうか」。中教審の安西祐一郎会長（兼・高大接続特別部会長）は2014（平成26）年10月20日に開かれた国立大学協会主催のシンポジウムで、こう疑問を投げ掛けました。一回のペーパー試験で正解がある問題を出題し、その採点によって受験生を順番付けする入学者選抜方法が「入学試験」です。しかし、そうした方法では家庭の所得格差、大学進学率の地域格差など、受験生個人ではどうにもならない要素がまったく考慮されないというのです。
中教審は大学入試センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト」（仮称）について、1点刻みではない「段階別表示」で成績を提供すべきだとしています。大学が、社会から求められるような学生の主体性・多様性・協働性を伸ばそうとする以上、単なる知識だけで合否を決めるのではなく、各大学が「求める学生像」に基づいて、小論文や面接、集団討論など、多様な選抜方法を課したほうがよいというわけです。
今回の議論は、点数や偏差値が中心だった受験を経てきた保護者世代には、納得するのは難しいかもしれません。実際、国立大学協会主催のシンポジウムでも、中教審の高校教育部会委員も務めた私立灘中・高校の和田孫博校長が「点数の合否に『惜しい』はあるが『おかしい』はほとんどない。日本人に合った客観性・公平性を担保してほしい」と訴えていました。これからの社会で活躍できる多くの人材を育てるためには、どういう入学者選抜が「公平」なのか、真剣に考えさせられる答申案といえそうです。
出典：大学入試が「公平」でなくなる!? -ベネッセ教育情報サイト
