大卒者の就職率向上の陰で、雇用不安定者は5人に1人
文部科学省の2014（平成26）年度「学校基本調査」（速報）によると、今春の大学卒業者のうち就職した者の割合は69.8％で、4年連続で上昇したことがわかった。しかし、非正規雇用、パート・アルバイト、就職も進学もしていない者などは卒業者全体の約2割に上っており、5人に1人が安定的雇用に就けない状況が続いている。この点について、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に聞いた。
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今春の大学（学部）卒業者56万5,571人のうち、非正規雇用を含めて「就職した者」は69.8％（前年度比2.5ポイント増）で、ほぼリーマンショック以前の水準に戻りました。契約社員や派遣社員などフルタイムの非正規雇用が3.9％でしたので、正規雇用者として就職できたのは全体の65.9％という計算になります。
学部の分野別に正規雇用者として就職した者の割合を見ると、「家政」が76.5％、「社会」が75.2％、「保健」が67.0％、「人文」が65.8％、「教育」が61.7％などです。
一方、大学院等への「進学者」は卒業者全体の12.6％（同0.4ポイント減）で、こちらは逆に4年連続の減少となっています。就職者の割合が増加したことが影響しているようです。学部の分野別に進学者の割合を見ると、「理学」が43.1％、「工学」が37.1％、「農学」が25.1％、「教育」が7.9％などとなっています。
このほか、パート・アルバイトなど「一時的な仕事に就いた者」は2.6％で2年連続の減少、「進学も就職もしていない者」は12.1％で4年連続の減少です。これら「一時的な仕事に就いた者」と「進学も就職もしていない者」に先ほどの非正規雇用者を加えると、合計18.6％が「安定した雇用に就いていない者」ということになります。
全体的に見ると、大学卒業者のうち正規雇用者は65.9％、大学院等への進学者が12.6％、進学も就職もしていない者が12.1％、非正規雇用者が3.9％、パート・アルバイトが2.6％、その他が2.9％となります。大学卒業者の約5人に1人が安定した雇用に就けないという状況の中で、子どもの大学卒業後の進路にも保護者は無関心ではいられないようです。
出典：就職率の上昇で大卒者進路も好転……でも約2割が雇用不安定 -ベネッセ教育情報サイト
