大学進学率が過去最高に 理由はアベノミクス?
文部科学省の2014(平成26)年度「学校基本調査」(速報)によれば、浪人生を含めた大学進学率が3年ぶりに上昇し、過去最高を記録。高等専門学校4年生などを含む高等教育機関全体の進学率も、初めて80%の大台に乗った。大学進学率上昇の背景と今後の展望を、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に聞いた。
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大学進学率の最近の動向を見ると、2011(平成23)年度の51.0%をピークに、12(同24)年度が50.8%、13(同25)年度が49.9%と、わずかながらも2年連続減少していました。それが14(同26)年度に51.5%と上昇に転じた背景には、アベノミクスによる景気の回復傾向を受けて、家庭の教育費負担に余裕が出てきたことなどがありそうです。
このまま大学進学率は再び上昇に転じていくのかというと、そう簡単ではないようです。今春卒業した高校生は、いわゆる「ゆとり教育世代」と呼ばれていた旧学習指導要領の最後に当たり、15(同27)年春の大学受験では数学と理科が、さらに16(同28)年春の大学受験ではすべての教科が、それぞれ新学習指導要領に切り替わります。このため、旧学習指導要領で学んだ現役生・浪人生の間では、新学習指導要領で学んだ「脱ゆとり世代」と競争したくないという安全志向から、上位大学を目指して浪人する者が少なかったといわれています。
大学を取り巻く状況から見れば、少子化により18歳人口が減少する一方、大学入学定員は拡大。私立大学の45.8%が定員割れしている中で、大学入試全体の難易度は今後も下がっていくものと思われます。景気の回復傾向とともに、大学進学率はこれからも上昇していくのか、それとも今春の大学進学率の上昇は、「ゆとり教育」世代の浪人忌避による一時的な現象なのか。日本の大学教育の在り方を考えるうえで、来春以降の大学進学率の動向が注目されるところです。
出典:浪人を含む大学進学率が3年ぶりに上昇 過去最高を更新 -ベネッセ教育情報サイト