高校に望まれる学習障害へのきめ細かな対応

高校に望まれる学習障害へのきめ細かな対応盲・ろう・養護学校などに分かれていたかつての「特殊教育」が、発達障害も含めた「特別支援教育」に移行してから2014年の今年で8年目。通常の小・中学校はもとより、進学先となる高校でも特別支援教育への対応が求められている。高校における特別支援教育の現状について、教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に聞いた。

 

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1990(平成2)年から発達障害の一種である学習障害(LD)の問題に取り組んできたNPO法人「全国LD親の会」は、会員とその子どもを対象とした「LD等の発達障害のある高校生の実態調査」の結果をまとめました。それによると、特別支援学校高等部も含めた高校相当の学校で発達障害に「理解がある」「どちらかといえば理解がある」との回答は、6割から8割に上昇、高校でも7割を占めるようになりました。

 

しかし、各学校に発達障害に対する理解がある教職員がどのくらいいるかと尋ねると、「半数以上~ほとんどの教員」と答えたのは、高校で3割。公私別では、私立高校が3割を超えたのに対して、公立高校では2割を超える程度でした。同会の東條裕志理事長は「高校での理解は進んでいるが、親としては物足りない」との見方を示しています。

 

教科学習の支援があるかどうかの問いに「ある」と回答したのは2割強でした。具体的にどんな支援があればよいか聞いたところ、「補習」「個別指導」が多く挙がったほか、ノートをとれないことから写真撮影を許可したり、要点をプリントにしたりしてほしいという要望もありました。

 

LD等の発達障害は知的発達の遅れを伴わないため、適切な支援が受けられさえすれば持っている能力を伸ばし、社会で大きな活躍をすることもできます。かの発明王エジソンも発達障害があったと見られていますし、米国の俳優トム・クルーズは文字を読むことが困難なLDであることを明らかにしています。「変わった子」として見過ごすのではなく、きめ細かな対応を行うことが求められます。

 

出典:「発達障害」、高校での理解はまだ不十分? -ベネッセ教育情報サイト

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