消費者金融もクレジットカードも自由!? 成人年齢引き下げの功罪とは?

憲法改正手続きを定めた改正国民投票法がこのほど参議院本会議で、与野党の賛成多数で可決・成立した。教育ジャーナリストの斎藤剛史氏は、「改憲の是非などがマスコミでは大きく取り上げられているが、今回の改正は、子どもたちの生活や学校教育にも大きな影響を及ぼすことになりそうだ」と話す。斎藤剛史氏に詳しく伺った。

 


消費者金融もクレジットカードも自由!? 成人年齢引き下げの功罪とは?

 

成立した改正国民投票法は、現在「20歳以上」と定められている公職選挙法の「選挙権年齢」と民法などの「成人年齢」を、いずれも「18歳以上」に引き下げることにつながる可能性があります。仮に年齢引き下げが実現すれば、18歳つまり高校3年生あるいは高校卒業直後から国政選挙や地方選挙で投票できるほか、「成人」としてクレジットカードや消費者金融などの契約が保護者の同意なしで可能になります。

 

具体的には、改正法の施行から4年後の2018(平成30)年に、憲法改正のための国民投票の投票年齢を「18歳以上」に引き下げます。さらに衆議院の付帯決議や与野党合意では、改正法施行から「2年以内を目途」に公職選挙法の選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げるために必要な措置を講じるとしています。一方、民法上の成人年齢を引き下げることも課題として挙がっており、谷垣禎一法務相などは国会答弁の中で国民投票年齢の引き下げに合わせて、民法などの成人年齢の引き下げを検討する方針を表明しています。

 

しかし、仮に選挙権年齢や成人年齢が「18歳以上」に引き下げられるとすれば、国政選挙などに投票し、保護者の同意なしでも契約行為ができる成人としての教育を高校段階でしておかなければなりません。下村博文文部科学相や文科省幹部などは、既に新科目「公共」の創設と必修化を次期学習指導要領改訂のポイントの一つに挙げています。

 

選挙権年齢や成人年齢の引き下げには反対意見も根強く、今後の与野党協議でも曲折が予想されます。それでも国民投票年齢の4年後の引き下げが決定したことで、高校の新教科「公共」の創設がほぼ確実になってきたとも言えそうです。

 

出典:国民投票権「18歳以上」、高校教育にも影響? -ベネッセ教育情報サイト

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