「スーパーグローバル大学」などに応募殺到‐斎藤剛史‐

大学教育のグローバル化など大学改革を進めるため文部科学省は、スーパーグローバル大学や大学教育再生加速プログラムなどの事業に着手したことは本コーナーで以前に紹介しました。これに対して、スーパーグローバル大学には延べ109校、大学教育再生加速プログラムには254校の応募があったことが文科省の発表でわかりました。いったい、どんな大学が応募しているのでしょうか。そして、狙いは何なのでしょうか。

「スーパーグローバル大学」などに応募殺到‐斎藤剛史‐


スーパーグローバル大学のうち、今後10年間で世界大学ランキング100位以内に入ることを目指す「トップ型」(採択予定10校程度)には、国立が東京大学や京都大学など旧帝大系をはじめ東京工業大学など13校、公立が首都大学東京、そして私立が早稲田大学と慶応義塾大学の合計16校が応募しています。16校の中から日本のトップ10といえる大学が選ばれるわけですが、応募校を見るとまず順当なところではないでしょうか。また、我が国の大学の国際化を牽引(けんいん)する「グローバル化牽引型」(採択予定20校程度)には、一橋大学や国際教養大学など93校(国立44校、公立11校、私立38校)が応募しています。国立大学の半数以上のほか、有名公私立大学などが名前を連ねています。
指定校は9月下旬に決定しますが、各大学とも是が非でも採択指定が欲しいというところでしょう。なぜなら、スーパーグローバル大学に採択されるということは、実質的に日本の大学のトップ30校となることを意味するからです。このほかグローバル化推進では、応募校でもある東洋大学など5大学とベネッセコーポレーションが連携して外国人留学生拡大に取り組んでいる例もあり、グローバル化は今後の大学のステータスを左右する大きなキーワードとなっています。

一方、大学教育再生加速プログラムのほうは、一方通行の講義型授業から双方向型授業への改革に取り組む「アクティブ・ラーニング」など4テーマの事業(選定予定合計44校程度)に合計254校(共同申請があるため計250件)の応募がありました。内訳は大学203校(国立43校、公立25校、私立135校)、短大32校(公立1校、私立31校)、高専19校(国立18校、私立1校)となっています。日本の4年制大学は約780校ですから、大学全体の約4分の1が応募している計算です。選定校には年間1,800万~2,800万円の補助金が5年間交付されますが、それよりも大学改革に力を入れている学校として文科省に選ばれる意義のほうが大学にとっては大きいようです。大学教育再生加速プログラムの認定校になれば、スーパーグローバル大学に次ぐ位置付けの大学との評価を得る可能性もあるからです。こちらは8月中旬に決定する予定です。

受験生の大学選びには、さまざまな基準があります。スーパーグローバル大学や大学教育再生加速プログラムの認定は、志望校決定の大きな判断材料の一つになるでしょう。どのような大学が選ばれるかで、今後の大学入試地図も変動するかもしれません。

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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