特別支援教育を受ける児童・生徒が20年で倍増 その理由は?
盲・ろう・養護学校などに分かれていた「特殊教育」が、発達障害も含めた「特別支援教育」に移行してから2014年の今年で8年目となる。この間少子化にもかかわらず特別支援教育を受ける児童・生徒は増加し、各地で特別支援学校の新設や教室増が行われている。特別支援教育を取り巻く環境について、教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に聞いた。
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20年前の1993(平成5)年度と比べると、特別支援学校または特別支援学級に通う小学校段階の児童は2.1倍、中学校段階の生徒は1.9倍になっています。障害のある児童・生徒の増加というだけでなく、一人ひとりの障害の状況に応じて個別の教育支援計画や指導計画が立てられる特別支援教育への転換によって理解が進み、きめ細かな対応が得られる特別支援学校・学級を選ぶ保護者が増えていることも事実でしょう。
特別支援学校は1学級6人(重複障害の場合は3人)、特別支援学級は同8人で編制されており、わずかな児童・生徒数の増でもすぐ学級増、学級担任である教員増につながります。現状は、特別支援学校でさえ1教室をカーテンで仕切るなどして学級増に対応するなど、ハード面の整備が追い付いていません。また、50代教員の大量退職を受け、特別支援教育に高度な専門性と指導力を持った教員の確保が大きな課題となっています。
国の財政難もあって、少子化で児童・生徒数が減っているのだから小・中学校などの統廃合を進めるなどして、教員数をはじめとした教育関係予算を削減すべきだという声もあります。しかし、きめ細かな教育を行うためには、昔に比べ一人にかけるコストを増やさなければならない分野があります。まして、これからの子どもたちに超高齢化社会を支える担い手としての役割を期待するなら、いっそう教育にコストをかけなければならないでしょう。特別支援教育の充実は、障害や困難を抱える子どもだけの問題とはいえないのです。