文科省が育成に力を注ぐ 日本版グローバル人材とは?
国境を越えた経済や社会のグローバル化が進み、就職でもグローバル人材が求められつつある中、保護者のかたがたもグローバル人材育成への関心が高まっているはず。具体的にどんな力が必要なのか。教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に伺った。
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高校におけるグローバル人材の育成といえば、何といっても文部科学省指定のスーパーグローバルハイスクール(SGH)。「将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を図る」(文科省)ことを掲げるSGHなら「入学できれば、グローバル人材になれるのでは……」と、期待が高まって当然です。しかし、先頃開催された指定校56校の連絡協議会と「アソシエイト(準指定)校」54校を加えた連絡会での文科省担当者の説明を聞くと、グローバル人材の育成は必ずしもSGHのような特別な高校だけで行おうとしているのではないことがわかります。
河村裕美・国際教育課課長補佐の説明によると、グローバル人材には、
(1)論理的思考力
(2)課題発見力・解決力
(3)多様性に対する適応力
(4)確固たる価値観、自己肯定感
(5)コミュニケーション能力
が必要であり、こうした能力を身に付けていれば「先行きが見えない時代、どんな時代の変化にも対応できる」といいます。しかも協調性に優れた日本人の特質を生かして、異なる人々をまとめ最善解を導き出す「<日本版>グローバル人材」すなわち「ハイブリッド型グローバル人材」の育成を目指すといいます。決して自らの文化的・社会的背景を捨てることではないようですし、必ずしも英語ができればよいというものでもないようです。
また、グローバル人材の素養が必要なのは、世界を舞台に活躍しようとする人だけではありません。グローバルな視点を持って地域を支えることもグローバル社会では求められるのであり、だからこそグローバル人材の素養をできるだけ多くの高校で育成することが求められるのです。