猛暑が後押し? 学校のエアコン 公立小中3割に冷房‐斎藤剛史‐

いよいよ夏本番が近付いてきました。ここ数年、記録的な猛暑が続いていますが、今年はどうなるでしょう。そのような中、公立小中学校の教室のエアコン(冷房)設置率が29.9%になったことが文部科学省の調査でわかりました。最近の猛暑が学校のエアコン設置に拍車をかけているようです。

文科省がほぼ3年に1回の割合で実施している調査の結果によると、2014(平成26)年4月1日現在で、全国の公立学校の普通教室と特別教室を合わせたエアコン設置率は、小中学校が29.9%〔前回調査(2010<平成22>年10月時点)18.9%〕、幼稚園が41.3%(同24.9%)、高校が43.4%(同36.7%)、特別支援学校が67.5%(同59.1%)となっており、いずれの学校段階でも3年半前の前回調査時より設置率が上昇しています。このうち最も教室数の多い小中学校を見ると、普通教室でのエアコン設置が急増しているのが特徴です。
これまでエアコンの設置は、コンピューター室などの特別教室で優先的に行われており、前回の2010(平成22)年調査でも設置率は普通教室16.0%、特別教室21.6%と特別教室のほうが高くなっていました。ところが今回の2014(平成26)年調査では普通教室32.8%、特別教室27.3%となり、普通教室と特別教室のエアコン設置率が初めて逆転しました。夏休み前後の7月、9月でも地域によっては気温35度を超える日があるなど、近年の猛暑が普通教室へのエアコン設置を促したようです。

公立学校のエアコン設置率のもう一つの特徴は、地域により大きな違いがあることです。小中学校の普通教室のエアコン設置率が高いのは、東京都99.9%、香川県81.0%、神奈川県71.3%、京都府68.1%、沖縄県67.9%など、逆に低いのは、北海道0.5%、秋田県1.1%、青森県と岩手県各2.0%などでした。これらは主に気候の違いによるものと思われますが、必ずしもそれだけではないようです。たとえば、同じ四国地方でも設置率は香川県が81.0%に対して、愛媛県は4.6%、徳島県は25.5%、高知県は13.8%となっています。小中学校の場合、市町村の財政力や教育予算をどこに重点配分するかという方針の違いなどが、都道府県のエアコン設置率の違いとなって表れているようです。さらに教育関係者の間では、学校のエアコンに対する意識の違いも影響しているという声もあります。子どもには暑さを我慢させることが必要だという考え方が強い地方では、議会などがエアコン設置に消極的なところが多いようです。ただ、小中学校の普通教室のエアコン設置率は、3年半前に比べると約2倍に増えています。「心頭滅却」の精神論も近頃の猛暑には勝てないというところでしょうか。

一方、エアコンは、電気代などのランニングコストという問題もあります。つまり、設置しても電気代などの学校予算の増額がないと安心して使えないのです。このためエアコンに使用制限をかけたりして電気代の節約に苦慮している学校も少なくないようです。いずれにしろ、子どもたちには地域の格差なく、より適切な環境の中で勉強してもらいたいものです。


プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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