導入に期待のかかる「反転授業」 全国への波及となるか

導入に期待のかかる「反転授業」 全国への波及となるか「反転授業」が注目されてきている。あらかじめ自宅で授業の動画を見て予習をし、話し合いや課題学習などを充実させる授業スタイルのことだ。佐賀県武雄市では2013(平成25)年11月から反転授業の実証実験をスタートさせており、いずれは全国への波及も期待されている。教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に伺った。

 

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■小学校と大学の「反転授業」の違いとは?

 

反転授業が実現すれば、児童はあらかじめ家で授業の動画を見て基礎的な知識などを身に付け、学校の「対面授業」では話し合い活動など、「活用」の力を伸ばすといったことができます。ただ、学生の自主性が期待できる大学とは違います。先生の指導はもちろん、家庭の協力も不可欠です。予習をしてこない子どもは少なくないでしょうから、学校での授業にも臨機応変な対応が必要になるでしょう。実証実験の取り組みと今後の研究が注目されています。

 

■ICTを活用した授業改善の取り組み

 

「反転授業」など、情報通信技術(ICT)を活用した授業改善の取り組みとして、文部科学省は2011(同23)年4月にまとめた「教育の情報化ビジョン」の中で、「学びのイノベーション(技術革新)」を打ち出しました。ICTの導入による「一斉学習」、子どもたち一人ひとりの能力や特性に応じた「個別学習」、子どもたち同士が教え合ったり学び合ったりする「協働学習」などを推進して、2020(同32)年度までに全学校で21世紀の学びを実現しようというものです。「習得・活用・探究」のバランスを重視した新しい学習指導要領の実施のためにも、ICT機器が大いに役立つというわけです。

 

■費用負担が当面の課題

 

これらの実現には1人1台のタブレット端末など、情報機器の整備が大前提です。佐賀県教委は来年度から県立高校の新入生全員にタブレット端末を持たせることにしましたが、1台5万円の個人負担が問題になっています。無償で貸し出す武雄市のように、家計の負担にならない自治体の施策も求められます。

 

出典:予習は授業の動画で? 「反転授業」の課題 -ベネッセ教育情報サイト

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