教員養成課程の大学教員に必要なのは「教員を養成している自覚」?
教員の指導力向上は大きな課題であり、特に大学における教員養成については、教育改革の中で常に問題となってきた。中でも、教員養成課程担当の大学教員、いわば先生の「先生」の在り方については、見落とされていた感がある。教育ジャーナリストの斎藤剛史氏が、国立教育政策研究所の調査結果をもとに解説する。
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国立教育政策研究所は、教員養成課程の大学教員に求められる資質能力を明らかにするための調査を実施しました。まず、教員養成担当の大学教員として求められる資質・能力をたずねたところ、「とても必要である」のトップは「教員養成担当者としての自覚」の81.5%でした。次いで必要なのは「学校現場での教育実践と関連づけた授業の実施」で66.2%、「実践と理論の往還型のプログラムのデザイン」が63.1%、「教育実習など体験と関連づけた授業の実施」が53.8%などでした。
先生の「先生」に必要なものは、教員を養成しているという自覚と、実際の学校現場での教育実践に役立つ授業をできるかどうかということのようです。
また、「教員養成の優れた取り組みを行う教員」になるうえで「とても有益であった」と思われる機会は、「現職教員との交流」で66.2%、「学生の教育実習等の現場体験への参画」と「同僚との議論」が52.3%でした。教員養成に当たる大学教員にとって最も必要な体験は、実際の学校現場の教員たちと交流し、学校や子どもたちの実態を知ることのようです。
これについては、「教員養成担当の大学教員が必ずしも当該教科の教員免許を保有していなかったり、教職経験がなかったりする場合が多い」という指摘があります。教員養成の改革では、養成カリキュラムなどが課題となりますが、実は教員養成に当たる大学教員の在り方も、大きな課題なのかもしれません。