意外と知らない教育委員会の実態を、専門家が解説

意外と知らない教育委員会の実態を、専門家が解説教育委員会制度の見直しが進んでいる。今通常国会に関係法案が提出される予定で、法案が成立すれば、地方教育行政の在り方が大きく変わることになる。ところで、教育委員会の実態とはどんなものなのだろうか? 保護者にとって身近な存在である、市町村教育委員会の実態について、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏が解説する。

 

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一般的に「教育委員会」には、非常勤の教育委員による合議体としての「狭義の教育委員会」と、具体的な教育行政を担う組織である教育委員会事務局を指す「広義の教育委員会」の2つの意味があります。今回、議論されている教委制度改革は「狭義の教育委員会」のものです。教育委員は、一般市民の中から首長が議会の同意を得て任命します。法律では、地方教育行政の執行機関(責任者)に位置付けられていますが、実態は形骸化していて、教育行政の責任能力がないと批判する声も多くあります。

 

教育委員会の仕事ぶりを、文部科学省の2012(平成24)年度教育委員会現状調査から見ると、地方教育行政にかかわる内容を審議する教育委員による「教育委員会会議」の年間開催数は、都道府県・指定都市が平均29.8回に対して市区町村は平均15.4回、さらに年間の総会議時間は都道府県・指定都市が平均53.5時間、市区町村が平均24.7時間でした。また、会議の内容について議事録を公開していない市区町村は48.7%、保護者や地域住民に対する公聴会を実施していない市区町村は69.4%、保護者や住民の要望や苦情を聴取するアンケート調査を実施していない市区町村は89.5%でした。

 

このような実態をどう判断するかは、見方によってさまざまでしょう。ただ、一つ指摘しておきたいのは、原則公開となっている、教育委員の会議の年間傍聴者数がゼロだった市区町村が、全体の68.3%に上っていることです。「狭義の教育委員会」問題の背景には、住民などの教育行政に対する無関心も関係していることを見落としてはいけないでしょう。

 

出典:教育委員会はどんなことをしているのか 論議の前に実態を知ろう -ベネッセ教育情報サイト

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