子どもの円形脱毛症 【前編】

子どもが円形脱毛症になった時、症状を悪化させないためには、保護者の正しい知識と対応が大切です。今回は、子どもの円形脱毛症について、医療の現場で数々の症例を診てこられた、りかこ皮フ科クリニックの佐々木りか子院長に、病気の原因や症状、対応法について教えていただきます。



どんな症状になるの?

円形脱毛症という病気は、近年増加傾向にあるような病気ではありません。昔から慢性的に見られる病気です。体調を崩したあとに発症するといった、特別な前兆や予兆はなく、健康な子どもがある日突然発症します。年齢・性別ともに関係なく起こる病気で、乳児の発症率はかなり低いのですが、1歳から発症の可能性が高まります。
症状や原因は、子どもも大人も同じです。具体的には、以下のような症状が見られます。


【図 円形脱毛症の種類と症状】
円形脱毛症の種類と症状


単発型の場合は、自然に治るケースが多いので、すぐに深刻に悩まなくても大丈夫です。でも、それ以外の症状については、長期的で困難な治療を必要とすることが多いので、早めに専門医に相談してください。受診される場合は、小児科ではなく、必ず皮膚科の専門医を受診し、正しい判断を仰いでください。



原因はストレスじゃない!

円形脱毛症の原因は、自己免疫疾患によって起こるものと考えられています。自己免疫疾患とは、病原菌などから自分の体を守るリンパ球が、何らかの原因で体外からの異物に過剰に反応してしまい、さまざまな症状を引き起こすものです。円形脱毛症の場合は、毛髪を作る細胞にリンパ球が過剰に反応することによって起こるようです。発症の引き金となる原因がわからないため、予防や早期発見はとても難しいのですが、子どもの頭髪をこまめにチェックしたり、枕に毛がたくさんついていないかなどの心配りをしたりすることが大切です。

円形脱毛症は、アトピー体質の人に多く見られるため、アトピー性皮膚炎や花粉症のお子さんは発症の可能性が高くなります。また、遺伝も関係があるため、保護者に円形脱毛症の経験がある場合も要注意です。この病気は、いまだにストレスが原因だと言われることが多いのですが、いろいろな研究からストレスは関係がないことがわかっています。ですから、原因を誤解して、保護者のしつけなどのせいだと考えて自分を責めたりしないでください。正しい知識を持ち、正しく症状を理解して、本当に子どもたちに必要な対応をしていただければと思います。

次回は、円形脱毛症の治療法と、間違えやすい症状についてご紹介します。


プロフィール


佐々木りか子

日本医科大学卒業。旧国立小児病院皮膚科医長、旧国立成育医療センター第二専門診療部皮膚科医長を経て、2008(平成20)年りかこ皮フ科クリニック院長。日本小児皮膚科学会事務局長。

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