新築の公立校 2割が木造施設の理由は?
学校の校舎を連想するとき、木造校舎を思い浮かべる人はある年齢以上の人で、多くは鉄筋コンクリートの校舎で学んでいるのではないだろうか。ところが最近、鉄筋コンクリートの校舎から木造校舎へと転換する学校が増えてきているという。教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に解説してもらった。
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2012(平成24)年5月1日現在、幼稚園から高校まで全国の公立学校の校舎などの施設のうち、約1割程度の4万232棟(10.3%)が木造施設となっています。新しく建築された公立学校施設に占める木造施設の割合を年度ごとに見ると、2010(平成22)年度が14.9%、2011(同23)年度が15.2%、2012(同24)年度が20.0%と、年々増加傾向にあることがわかりました。
さらに、鉄筋コンクリートなど非木造施設でも、床・壁・天井などに木材を使用した「内装木質化施設」は全体の55.2%を占めており、2012(平成24)年度に新しく造られた公立学校施設の75.3%に、何らかの形で木材が使われていると文科省は説明しています。
木造施設が増えている大きな理由は、木材の持つ温もりや柔らかさが見直されていることでしょう。文科省の関係資料では、「学校で好きな場所があるか」という質問に、木造校舎の子どもたちに比べて、鉄筋コンクリート校舎の子どもは、「好きな場所はない」と回答する割合が高いという研究結果が紹介されています。また、木材を利用した学校施設は、「子どもたちのストレスを緩和させ、授業での集中力が増す効果」があります。木材の床は結露しないので転んでけがをする子どもが少ないうえに、足にかかる負担も少ないということです。
学校は「学習の場」であると同時に、子どもたちの「生活の場」でもあります。機能性や経済性だけでなく、親しみや温もりなどに、もっと注目するべきなのかもしれません。