【速報】センター試験廃止と達成度テスト新設の現状と課題 ‐ベネッセ調査
ベネッセ教育総合研究所は1月23日、「高大接続に関する調査」の結果(速報)を発表した。ここでは、政府の教育再生実行会議や文部科学省の中央教育審議会で論議されている大学入試改革について、詳しく述べられている。内容について、教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に解説してもらった。
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大学入試センター試験を改めて、「達成度テスト(仮称)」を設けることには高校と大学では賛否の傾向が異なっています。同研究所では「入試制度改革で解決をめざす課題は何なのか。そのための施策の意義を高校・大学の双方に分かりやすく説明し、広く理解を促す必要がある」、入試改革は「高校教育の改革、大学教育の改革と合わせて」「総合的な視点にたつ改革が不可欠」と指摘しています。
ただ、「現在のセンター試験の廃止」には高校で賛成19.6%、反対41.6%と反対が多く、とりわけ「国公立大学や難関私立大学への進学者が多い」高校では反対が51.7%と半数を超えています。「達成度テスト」創設についても、大学で賛成の比率が高いのに対して、高校では反対の比率が高くなっています。「センター試験と何が違うのか」「なぜセンター試験を廃止する必要があるのか」など、提案されている改革案がなぜ必要なのか理解に苦しんでいる様子が見て取れます。
実行会議は改革の方向性の大枠を示しただけで、二つの達成度テストをどのようなものにするかは、これから中教審で検討する課題です。今回の改革論議は大学入試だけを取り上げたものではなく、高校教育や大学教育の改革と一体で行わなければならない、という認識があり、特に大学側から提起されたことに注意する必要があるでしょう。今後、中教審での論議が深まり、学校現場にも理解が広がることが期待されます。