子どもの運動能力向上中の反面、ぞうきんがけ習慣の減少で握力は低下?

文部科学省の2012(平成24)年度「体力・運動能力調査」(新体力テスト)の結果から、小学校から高校までの子どもの体力と運動能力が、ピーク時の1985(昭和60)年度には及ばないものの、少しずつ向上していることがわかった。一方、握力・ボール投げなどの記録は低下または横ばいで、変わっていない。これには「意外と根深い問題がありそうだ」と語る、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に話を聞いた。

 

子どもの運動能力向上中の反面、ぞうきんがけ習慣の減少で握力は低下?

 

文科省では、小学生(11歳)、中学生(13歳)、高校生(16歳)の各年齢の50メートル走など各種目の記録をポイント化し、その合計点の1998(平成10)年度から2012(同24)年度までの15年間の推移を調べました。その結果から子どもの体力・運動能力について、「緩やかな向上傾向を示している」と分析しています。

 

特に注目されるのは、合計点の上位が2010(平成22)年度から12(同24)年度の3年間にほぼ集中していること。小・中学校で「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)が2008(平成20)年度に始まり、体力づくりに力を入れる小・中学校が増えたこと、主要教科と同時に体育の授業時間数を増やした現行の小学校学習指導要領が11(同23)年度から実施されたことなどが理由として考えられます。

 

一方、「握力」「ボール投げ」など一部の種目の成績は、過去15年間で「低下」または「横ばい」状態にあります。重い荷物を持つ、木にぶら下がる、ぞうきんを絞るなど日常生活の中で握力を鍛える行為が減ったことや、「投げる」など複雑な体の操作を習得する機会が幼児期の遊びの中で少なくなったことが、成績低迷の背景にあるようです。

 

体育の授業や部活動など、学校で鍛えられる種類の力は少しずつ向上しているのに対して、日常生活や子ども同士の遊びの中で培われる力は横ばい、低下しているといえます。子どもの体力づくりでは、家庭や保護者の役割も重要です。

 

出典:子どもの運動能力やや向上 依然として問題も山積 -ベネッセ教育情報サイト

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