子どもが「学校行きたくない」と言ったら、どうする?【第2回】~保護者に心掛けてほしいこと~

「最近、学校に行きたくないと言うことが増えた」「学校を休みがちになった」など不登校の兆しがあったとき、保護者はどのように子どもに関わればよいのでしょうか。前回に引き続き、東京学芸大学教育学部准教授で、同大付属の幼稚園と小・中学校でスクールカウンセラーもされている松尾直博先生に、保護者にできる対応策と予防法についてお伺いしました。



不登校かな? と思ったら、早めに学校に相談

いきなり学校を長期間休んでしまう子どもは少なく、多くの子どもたちは休む前からSOSのサインを出しています。朝起きて来ない、体調不良を訴える、遅刻・早退が増えているなどの予兆があったら、早めに学校の担任やスクールカウンセラーに相談してほしいと思います。
スクールカウンセリングでは、子どもが学校に行けなくなってしまった理由を必要に応じてゆっくりと解きほぐすと共に、まずは怒りや不安、恐怖を感じずに自宅で心穏やかに過ごせるようになるように支援しています。保護者のかたが無理に原因を聞きだそうとするのではなく、そこは専門家に任せたほうがよいと言えます。
また、不登校の予兆がなくても、子どものことで心配があればスクールカウンセラーに相談しましょう。たとえば、「今は元気に通っているけれど、小学校のとき休みがちだった」「最近学校生活に疲れている」といったことでも、遠慮せず相談に来ていただきたいですね。1~2回のカウンセリングを行い、適度に休息を取らせるなどアドバイスをすることで、長期欠席せずにすむ子どもも多いのです。



家庭では、穏やかな気持ちで過ごせるように配慮して

子どもが学校を休んでしまうと「勉強についていけなくなるのではないか」「友達との関係が悪くなるのではないか」と心配し、保護者は早く学校に行かせたいという気持ちになると思います。ただ、文部科学省の考える不登校支援では「将来、社会で自立できるようになること」を最終目標としています。明日、あさってのことではなく、中長期的な視野で子どもにどうなってほしいのかをご家族で考えてほしいですね。
なぜ不登校になってしまったのかなどのカウンセリングは専門家に任せ、家庭では十分に休息をとらせ、腫れものに触るようにせず、普段どおり過ごしてほしいですね。子どもが家で元気な状態になると、保護者はイライラしてくることもあるかもしれませんが、子どもが家の中で元気になってくることはよい兆しです。穏やかな気持ちになると、いい意味で自宅にいるのが退屈になってきて、向き合うべきものに再び向かい合うことができるのです。不安や恐怖はゼロにならないかもしれませんが、本人の「学校に行きたい」という思いが強くなったときに登校できることが多いです。



上手な息抜きが不登校を防ぐ

不登校を予防するためには、子どもに上手に息抜きさせることが大切です。学年が上がるごとに、勉強や学校行事、習い事などで忙しく過ごしている子どもが多いと思います。真面目な子どもほど「がんばらなきゃ」と張り切り、疲れてしまっています。たとえば、1日1時間、1週間に半日、期末テストが終わった数日間など、何もせずゴロゴロ休息できる時間を設けるなど、メリハリをつけた生活ができるよう、保護者のかたはサポートをしてあげましょう。
また、子どもとたわいもない話をたくさんしてほしいと思います。思春期になると子どもに「うざい」と言われるからといって、距離を置いてしまう保護者のかたもいるかもしれませんが、めげずに子どもに関わってほしいと思います。ポイントは、子どもの好きな話題を話させるということです。子どもの好きな音楽・テレビ・スポーツの話などをたっぷり聴いてください。そうした保護者とのつながりは、子どもにとって大きな安らぎになります。
また、「等身大のあなたでいいんだよ」と自信をつけさせてあげてほしいですね。特に、環境が大きく変化する小6から中1になる子どもにはとても大切です。子どもの良いところを認めてあげ、<自分の核>になるようなものをこの時期までに育んであげるとよいですね。

次回は、不登校に関する保護者からの質問に松尾先生にお答えいただきます。


プロフィール


松尾直博

主な著書『絵でよくわかる こころのなぜ』(学研プラス)『ポジティブ心理学を生かした中学校学級経営 フラーリッシュ理論をベースにして』(明治図書出版・共著)『コアカリキュラムで学ぶ教育心理学』(培風館・共著)『新時代のスクールカウンセラー入門』(時事通信社)など


博士(心理学)。公認心理師。臨床心理士。学校心理士。特別支援教育士スーパーバイザー。専門は、臨床心理学や学校心理学。幼稚園、小中学校でのスクールカウンセラーの経験多数。

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