子どもを勇気づける言葉を増やしましょう![やる気を引き出すコーチング]

今年も、暑い夏が続いていますが、お元気でお過ごしでしょうか。特に、今年は、ロンドンオリンピックの熱戦が連日報道され、よりいっそうヒートアップした夏だったように感じます。チャレンジする選手たちのコメントはもちろん、選手たちを支えてきた言葉、激励する言葉、賞賛する言葉が飛び交う中で、勇気をもらったかたも多かったのではないでしょうか。
さて、わたしたちは日頃、子どもたちに対してどんな勇気づけの言葉をかけているでしょうか。今回は、相手を勇気づける言葉について、あらためてまとめてみました。



「過程」を重視する

高校生の就職支援の仕事をしていると、模擬面接で思うように話せない生徒や本番で失敗して自信をなくす生徒に、折々に出会います。そんな時、結果ばかりを重視すると、よけいに落ち込むように感じます。結果はさておき、まず、過程を認めてあげると、次のことを考えられる余裕が出てきます。
「一生懸命、話そうとしていたね」
「思い切ってチャレンジしたね」
そんな言葉をかけます。結果の良し悪しだけを言われると、正直なところ、大人でもつらいですよね。



「成果」の部分を指摘する

わたしが日頃、接する初対面の子どもたちは、
「今日は、この先生に、どんなダメ出しをされるんだろう?」
と、最初は恐れているように見えます。
「ここができていないよ」
「そこ、間違っているよ」
と、足りないところを指摘するばかりでは、こちらに対して、なかなか心を開いてくれません。
「自己PRの部活の話のところがすごく上手に話せたね」
「この問題はよく解けたね。勉強の成果だね」
と、できている部分を承認してあげると、「もっとがんばろう!」という気持ちが起きやすくなります。



失敗を受け容れる

「失敗しないようにね!」
「失敗したらどうするの?」
と成功のみを重視する言葉かけは、かなりプレッシャーです。失敗はマイナスではない、次へつながる学びのステップととらえる言葉を、日頃からかけたいものです。
「よくチャレンジしたね」
と過程を承認し、
「次に活かせる失敗だったね」
「もう一度やるとしたらどんなふうにやれば良いと思う?」
などの声かけが日常的に行われると、失敗を恐れる子どもも少なくなるように思います。



成長を重視する

他人と比べられるのはつらく、やる気を奪われるものです。皆さんもご経験がありませんか。
「お兄ちゃんはがんばっているのに」
「○○ちゃんは毎日3時間、勉強してるって」
などと言われると、かえって、カチンときませんでしたか。比較するなら、友達やきょうだいではなく、過去の本人と比べてあげてください。
「この前よりずいぶんできるようになったね」
「去年と比べてぜんぜん違うね」
という感じでしょうか。



評価ではなく感謝する

「お手伝いできて、良い子ね」
「それじゃあ、ダメだよ」
と良し悪しで評価をされるよりも、自分自身の存在価値を実感できるような言葉のほうが、子どもも嬉しいものです。
「手伝ってくれて、ありがとう。すごく助かったよ」
「あなたががんばっているのを見て、お母さんもやる気がわいてきたよ。ありがとう」
こんなふうに言われたら、子どもの自己肯定感も高まります。



肯定的な表現を使う

励ましているつもりでも、ついつい否定的な言葉を使っていることはありませんか。「あなたは、本当に気が小さいんだから。もっと気持ちを大きく持って!」「くよくよしないで。落ち込むのはやめようよ」など、ほとんどが、今の相手を否定している言葉です。「気が小さいというよりは、すごく慎重なんだよね。いつもよく考えているね」「悩みがあるのは、向上心があるからなんだよ」と肯定的な表現で伝えたいものです。いろいろとご紹介しましたが、どんな言葉がヒットするのかは、もちろん、状況や子どもによって違うでしょう。だからこそ、たくさんのレパートリーを持って、どんどん試してみていただけると幸いです。


プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

子育て・教育Q&A