子どもの遊び場に潜む危険

たとえば東京消防庁管内だけでも2007(平成19)年から2010(平成22)年までの4年間に、公園や広場等の遊具に関係した事故で12歳以下の子ども約2,000人が救急搬送されています。こうした事故を防ぐために親ができることは? 事故予防に尽力されている小児科医の山中龍宏先生に伺いました。


遊具の事故はパターン化しています

公園などの遊具で起こる事故にはパターンがあります。いちばん事故が起こりやすいのは滑り台。特に2歳児の滑り台からの転落事故が突出して多くなっています。これは動きが活発になってきて遊具で遊べる機会が増える時期と重なります。そして滑り台の次に多いのがブランコの事故。幼児なら誰かがこいでいるブランコにぶつかってケガをする(特に多いのが2~4歳)、小学生ならブランコから飛び降りたり、こいでいる最中に転落したりといった事故(特に多いのが6~8歳)が圧倒的多数です。


遊具の事故で圧倒的に多いのは「転落」

どの遊具も転落事故が最も多くなっています。中でも、ジャングルジム・複合遊具・鉄棒は、事故件数自体はそれほど多くありませんが、骨折など中等症以上の事故につながりやすいことがわかっています。


■事故の多い遊具上位5位 要因別救急搬送人員

  転落 衝突 転倒 飛び降りた・飛び移った 挟まれた 逆走 その他 不明 総計
 滑り台 418 94 74 19 6 20 12 10 653
 ブランコ 256 151 19 10 1 - 6 7 450
 鉄棒 100 32 2 5 1 - 2 3 145
 うんてい 122 9 2 4 - - - - 137
 ジャングルジム 103 14 6 2 2 - - 2 129

※2007(平成19)年~2010(平成22)年 東京消防庁調べ


遊具による事故を防ぐために

事故を防ぐには、起こりやすい事故を親が把握しておくことが最初の一歩。そのうえで、幼児なら親がそばで見守る、小学生なら「遊具は正しい使い方をし、危険な遊び方はしないこと」を伝えるといったことが必要です。また、遊具に引っかけて首を絞めたりする恐れがあるので、フードつきのウエアは避ける、バッグ等を肩にかけたまま、自転車用ヘルメットをかぶったまま、マフラーをしたままで遊ばないといったことも必要です。


子どもが利用する遊び場の遊具を点検!

子どもが利用する遊び場の遊具に危険がないか、親が点検することをおすすめします。点検時の大きなポイントは次の3つ。もし、遊具に何らかの問題がある場合は、公園(広場)の管理者に連絡することも親の義務です。


遊具のチェックポイント

(1)遊具の下の素材はクッション性があるかどうか
下がコンクリートだと転落したときに重症の恐れがあります。

(2)遊具に危険なでっぱりがないか
子どもが手足や衣類を引っかけてケガをする恐れがあります。

(3)遊具として不適切ではないか
日本公園施設業協会は2002(平成14)年に発表した安全基準で「事故が相次いだ遊動円木、箱ブランコ、廻旋塔は不適切な遊具として、使用を禁止し、撤去するのが望ましい」という見解を示しています。



プロフィール



緑園こどもクリニック院長。産業技術総合研究所・傷害予防工学研究チーム長。日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会専門委員。子どもの重症事故を繰り返さないために、日夜尽力している。著書に『子どもの誤飲・事故(やけど・転落など)を防ぐ本』(三省堂)など。

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