9割の保護者は子どもに最先端の科学技術に興味・関心を持ってもらいたい!

アンケート期間 2010/09/08~2010/09/09 回答者数:2,605人
アンケート対象:全国の本サイトメンバーの保護者

※百分比(%)は小数点第2位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和が100%とならない場合がある



今回のテーマは、科学技術。ほとんどの保護者が、「子どもには科学技術に興味・関心を持ってほしい」と考えていることがわかりました。最新の科学技術について、ご家庭で話題になることも少なくないようです。では、お子さまに科学技術に興味を持ってもらうために、具体的にどんなことを話題にしているのかアンケートから紹介します。


学齢を問わず、最先端の科学技術への興味・関心を望む声多し!

最初に、お子さまに最先端の科学技術について興味・関心を持ってほしいかどうかを伺いました。

【図1 お子さまに最先端の科学技術について興味・関心を持ってもらいたいと思いますか?(全体)】
図1 お子さまに最先端の科学技術について興味・関心を持ってもらいたいと思いますか?(全体)


【図2 (横軸)お子さまに最先端の科学技術について興味・関心を持ってもらいたいと思いますか?(学年別)】
図2 (横軸)お子さまに最先端の科学技術について興味・関心を持ってもらいたいと思いますか?(学年別)


「子どもには、最先端の科学技術について興味・関心を持ってもらいたい」。そう思っている保護者は、「とてもそう思う」「まあそう思う」を合わせて、全体の9割以上でした。割合の高さは、どの学年でも変わりません。一時的な受験対策としてではなく、もっと広い視野から、お子さまが科学技術に興味・関心を持つことを望む保護者が多いと言えるのではないでしょうか。


科学技術に興味・関心を持ってもらいたい理由とは……!

では、保護者はなぜ、子どもが最先端の科学技術に対して興味・関心を持つことを望むのでしょうか。その理由をご紹介します。

☆なぜ、最先端の科学技術について興味・関心を持ってもらいたいのか

◎将来のためになるから
●知識の幅が広がるのはもちろん、理系の分野に対する興味・関心を伸ばすことは、就職など、子どもの将来にも役立つと思うから
●子どもはもともと理系の勉強が好き。もっと知識を吸収し、将来は身に付けた技術で、日本の産業発達に貢献してほしい
●わたしもパートナーも理系なのですが、子どもも理系科目が好きで、科学の話などで親子の会話が弾みます。将来は理系に進んでほしいと思っています
●うちの子どもが関心があるのは、ゲームや流行歌ばかり。でも、経済不況のご時世、社会からのニーズが高いのは理系の知識や技術。少しは興味を示してほしいです

◎科学技術開発の夢や知的好奇心を抱いてほしいから
●宇宙探検や理想の未来社会を実現するために、科学技術を開発する。子どもには、そんな夢を持ちながら成長してほしいと思います
●科学の最先端を知れば、人間は努力によって素晴らしい技術を開発できることを実感するはず。その実感は、子どもの人生を支えてくれると思います
●わたしがパートで勤める某研究所では、毎日、学生さんが夢中で研究に取り組んでいます。その楽しそうな姿や真剣なまなざしを見ると、科学技術開発のやりがいがわかるような気がして、自分の子どもにも科学技術に関心を持ってほしいと思います
●科学の進歩によって、以前はSFの世界でしかありえなかったような技術が実現しました。今でも最先端の科学技術は信じられないものばかりで、わたしは知れば知るほどワクワクします。学校の勉強に直結はしないかもしれませんが、子どもにもそんな知的好奇心を持ってほしいと思います

◎知識・教養として大切だから
●科学技術は普段の生活にもかかわるため、一般教養として関心を持ち、知識を身に付けてほしい
●飛行機はなぜ飛ぶのか、自動車はなぜ走るのかといったことに疑問を持ち、自分で調べる過程で、多くの知識を得られると思うため。エンジニアになってほしいとまでは思わないものの、論理的思考につながる数学・物理の考え方は、社会生活にきっと役立つはずなので、ぜひ身に付けてほしい

どの回答にも、お子さまの知的成長をサポートしたいという、保護者としての思いがあふれています。
一方「子どもには、最先端の科学技術に興味・関心を持ってもらいたいとは思わない」という保護者は、その理由として「科学技術に対する興味・関心が、必ずしも学力向上につながるとは感じられないため」「親であるわたしが文系で科学の知識に乏しく、親子共通の話題にはならないため」「今は科学技術よりも、自然の不思議さに触れてほしいから」といった回答をしています。中には、「マンガ家志望のうちの子どもは完全に文系で、将来的にあまり必要ないため」といった声も聞かれました。


保護者が理系のご家庭には、理系のお子さまが多い!

続いて、保護者自身の理系・文系の別と、お子さまの理系・文系の別の関係を伺いました。お子さまと最新の科学技術について話す頻度についてもお聞きしています。

【図3 (横軸)あなたのお子さまのうち、理科が好き・理系だと思われるかたはいらっしゃいますか?(学校の教科の理科や算数が得意・好きなど)(縦軸)あなたご自身は、理系ですか文系ですか?】
図3 (横軸)あなたのお子さまのうち、理科が好き・理系だと思われるかたはいらっしゃいますか?(学校の教科の理科や算数が得意・好きなど)(縦軸)あなたご自身は、理系ですか文系ですか?


【図4 (横軸)あなたは、お子さまとの会話で最新の科学技術を話題にすることはありますか?  近いものをお選びください。(縦軸)あなたご自身は、理系ですか文系ですか?】
図4 (横軸)あなたは、お子さまとの会話で最新の科学技術を話題にすることはありますか?  近いものをお選びください。(縦軸)あなたご自身は、理系ですか文系ですか?


「子どもは理系科目が好きであり、理系である」という保護者の割合は、保護者自身が「理系である」というご家庭ほど高くなりました。
また、図4を見ると、「子どもとの会話で最近の科学技術を話題にすることがある」という割合も、自身が「理系である」保護者ほど高いことがわかります。話題にする割合は、「文系」の保護者も低くないものの、「理系」の保護者のほうが約2割高くなっています。


親子の話題、「3D映像」「はやぶさ」が多い!

次に、親子の会話で最近話題になったのはどんな科学技術かを伺いました。
※この質問には、理系・文系を問わず、「子どもとの会話で最新の科学技術を話題にすることがよくある」「ときどきある」と回答したすべての保護者を対象としています。

◎「はやぶさ」の話題
●最近は、帰還した「はやぶさ」の話題で持ちきり。近所で行われたカプセルの展示会も、親子で見に行きました
●「はやぶさ」が小惑星イトカワに置いてきたアルミプレートには、世界各国の約88万人とともに、うちの子どもの名前も刻まれています。そのため、「はやぶさ」に対する子どもの関心は高く、無事の帰還を自分のことのように喜んで、繰り返し話題にしています
●はるかな宇宙から帰ってきた「はやぶさ」が子どもの好奇心をとらえたようです。大気圏再突入カプセルを設計したのはわたしなので、解説はお手の物。子どもが満足するまで、じっくり説明してあげました(編集部注:改めて回答してくださったかたに連絡をとったところ、実話だそうです!)

◎「3D映像」の話題
●子どもは3Dの映画に衝撃を受け、その仕組みに興味を持ったようです。毎日話題になります
●3Dテレビについて、メカニズムや、どこの製品が優れていそうかなど、よく話題になります
●発売予定の3D版携帯ゲームプレーヤーについて、「いかにすごいか」を説明してくれます。……ひょっとして買ってほしいのかな?

◎その他の話題
●エコカーが話題になります。「本当に環境保護になっているのか?」を、親子で話し合っています
●子どもはゲーム関連の専門学校に通っており、コンピュータのプログラムなどについてよく話をしてくれるのですが、文系のわたしはその方面に疎く、正直に言って、聞いていてもよく理解できません
●最近、テレビで科学捜査の様子を見た子どもから質問されたので、DNAの仕組みやDNA鑑定の正確性などについて説明しました
●ニュースを見ながら話をします。子どもは疑問に思ったことを何でも質問するので、親としても大変。先日もソーラー発電について、いろいろ聞かれました。自分でつくってみたいようです
●休日に親子で博物館や科学館などによく行くため、人体の不思議や宇宙の神秘性などがよく話題になります
●うちの子どもは宇宙科学への関心が高く、夏休みの自由研究では、世界中の衛星の飛行高度を調べました。2010年9月に打ち上げの準天頂衛星の愛称公募にも応じたところ、子どものつけた「みちびき」が愛称に決定! 最近は、親子で話し合いながら打ち上げを見る予定を立てました(編集部注:こちらも実話だそうです!)

圧倒的に多かった話題は、小惑星探査機「はやぶさ」と「3D映像」についてでした。この2つは、ニュースでも繰り返し報道されており、最近の科学技術開発の象徴的存在。話題にしやすいですよね。
ほかにも、「LED」「iPS細胞」などが話題として挙がりました。


子どもも保護者も、科学技術の情報源として「テレビ番組」を重視!

最後に、お子さまと保護者自身が、どんなところから科学技術についての情報を得ているかを伺いました。また、ご家庭で人気がある情報源についても、具体的にお聞きしています。

【図5 お子さまは科学技術についてのニュースやテレビ番組、本や博物館での展示を見たがりますか?】
図5 お子さまは科学技術についてのニュースやテレビ番組、本や博物館での展示を見たがりますか?


【図6 あなたご自身は、科学技術についてのニュースやテレビ番組、本や博物館での展示を見たいと思うほうですか?】
図6 あなたご自身は、科学技術についてのニュースやテレビ番組、本や博物館での展示を見たいと思うほうですか?


科学技術の情報源として、「子どもが見たがる」と感じる保護者の割合が最も高かったのは、「テレビ番組」。次いで、「博物館などの展示」「本や図鑑」「ニュース」と続きました。
保護者自身が「見たいと思う」割合で高かったのは、「ニュース」と「テレビ番組」。トップは「ニュース」だったものの、「テレビ番組」との差はわずかでした。
お子さまも保護者自身も、科学技術に関する情報は、テレビ番組から得ているというケースが多いようです。では、具体的にどんな番組がご家庭で人気があるでしょうか。以下に具体的にご紹介します。

☆ご家庭で人気のあるテレビ番組(順不同)
●飛び出せ!科学くん
●アインシュタインの眼
●サイエンスZERO
●ダーウィンが来た!生きもの新伝説
●世界一受けたい授業
●大科学実験
●科学ドキュメンタリー専門チャンネル「ディスカバリーチャンネル」の諸番組

番組名は具体的に挙げていないものの、「米村でんじろうさん(サイエンスプロデューサー)の出る番組は家族でよく見ます」といった声もありました。
また、「テレビ番組」以外に重視する情報源としては、具体的には以下のような声が多く寄せられています。

☆博物館
●国立科学博物館
●日本科学未来館

☆雑誌
●子供の科学
●Newton

☆ホームページ
●宇宙航空研究開発機構(JAXA)
●ネット科学教室


(まとめ)
ほとんどの保護者が、お子さまの学齢を問わず、「最先端の科学技術に関心を持ってほしい」と思っていました。科学技術は、話題となる割合としては保護者自身が理系である場合のほうが高かったものの、文系の保護者の場合も決して低くはありません。特に多かった話題は、「はやぶさ」と「3D映像」についてでした。
一方で、子どもの理数離れは進んでいます。高校では大学受験対策に直結しない理科の観察・実験をあまり行わなくなったり(高校の授業が≪理科離れ)招く? 少ない実験・観察)、小学校教員を目指す大学生が「理科は苦手である」というケースが増えていたりする(理科好きの子を増やすには「先生のタマゴ」から)という調査結果も出ています。
保護者からの声に見られるように、科学のおもしろさや素晴らしさを伝えるテレビ番組や雑誌、博物館なども最近は豊富です。ご家庭でも、お子さまと一緒に科学技術に触れる機会をつくってみるとよいかもしれません。お子さまの興味・関心を高めるのに加えて、保護者自身も楽しめる場合もあるのではないでしょうか。


子育て・教育Q&A