大充実の夏休みじゃなくてもOK! 何かひとつできたことを認めることで、2学期につながる

夏休みもいよいよ終わり。そこで今回は、昨年の夏の終わりに保護者のかたに夏休みを振り返って回答してもらった調査結果から、夏休みの最初に親が重視したことと、子どもが実際にできたことの差を取り上げます。
また、全国の小学校では、昨年から新しい学校指導要領が一部導入されつつあり、授業時間数増加に対応するため、夏休みの日数を減らして授業時間を増やす学校もあるようです。そこで、地域別の夏休みの長さをご紹介します。ぜひ、ご自分のお住まいと各地を比べてみてください。


夏休みに対する「親の理想」と「子どもの現実」にギャップ

夏休みの過ごし方で「重視したこと」と、「できたこと」の差を見ていきます。

【図1 夏休みの過ごし方(重視したこと/できたこと)】
図1 夏休みの過ごし方(重視したこと/できたこと)

●「重視した」が多いわりに、「できた」が少ない=「テレビを見すぎないこと」
「重視した」より「できた」が10ポイント以上下回ったのは、「規則正しい生活を送ること」「毎日きちんと勉強すること」「テレビを見すぎないこと」「家の手伝いをすること」。特にテレビに関しては28ポイントの差がつきました。夏休みに規則正しく毎日勉強して、お手伝いをして、テレビを見すぎない…のは理想ですが、なかなか親の思う通りにはいかないようです。

●「重視した」が少ないわりに、「できた」が多い=「のんびり過ごすこと」
反対に、「重視した」より「できた」が10ポイント以上上回ったのは「好きなことに熱中すること」「のんびり過ごすこと」「父親と過ごす時間を増やすこと」の3項目。どれも時間のある夏休みだからこそできることです。特に「のんびり過ごすこと」は33.5ポイントも上回りました。


そうはいっても、夏休みは楽しむことで成長する!

次に、夏休みに関する保護者の意見をご覧ください。

【図2 夏休みに関する保護者の意見】
図2 夏休みに関する保護者の意見

●「夏休みは子どもが成長する良い機会」と考える親は8割以上
9割以上の親が「子どもは夏休みを楽しんでいた」と感じ、「夏休みは子どもが成長する良い機会だ」8割、「夏休みを過ごして子どもが成長したと感じる」も6割を超えます。母親の目指す理想の夏休みが送れなかったとしても、子どもは夏休みのいろいろな体験をとおして成長をしており、そのことを母親も実感しているとわかります。

●先生も夏休み後の子どもの成長を実感
以下に、現役の先生方の声をご紹介します。


  • 夏休みならではの自然とふれあう体験などをした子どもが、素直に感謝する心や謙虚さを身に付けたように感じられることがある。(30代男性)
  • 学習を怠りがちだった子も、夏休みの学習を積み重ねることができると、休み後に毎日の自己学習ができるようになる。(40代男性)
  • 家でしっかり親子の会話やふれあいがあった子は、2学期落ち着いてくる。また、親に学習の不足を補ってもらえた子は、学習面も伸びている。(40代女性)
  • 休み中に子どもたちだけで田舎に出かけた体験や、自由研究をきちんとやりきった経験があると、自立心などの面で大きく成長する。(40代男性)
  • たくさん遊んだのか、黒くなって登校してくる子どもを見ると、心身ともに一回り大きくなった印象がある。(30代女性)
  • 夏休みが明けると落ち着いた雰囲気が生まれ、そうやってだんだん成長してくるようなので、長期の休みは子どもには大切だと思う。(50代男性)

夏休み最短は長野22.8日間。最長の山口・大分の約半分

最後に、夏休み期間の地域差をご紹介します。

【図3 夏休み期間の地域差】
図3 夏休み期間の地域差

●夏休みは北で短く、南で長い傾向
北海道の25.5日間から九州・沖縄地方の43.4日間まで差が見られます。一番短いのは長野県の22.8日間で、一番長い山口県、大分県の44.7日と比べると、約半分の日数となっています。今後、地域によって夏休みの過ごし方は変化しそうですね。

●夏休みの短縮には、7割の親が賛成
夏休みの短縮には、7割の親が賛成(賛成+どちらかといえば賛成)しているようです。この背景には、「昼食や弁当を準備するのがたいへんだ」80.0%、「夏休みはお金がかかりすぎる」69.8%、「家庭での勉強は集中ができない」60.2%といった理由が考えられます。

さらに、「夏休みの間、子どもを預かってくれる施設がほしいか」の問いに、低学年の子どもの母親は専業主婦でも約6割、働いている母親では8割が「ほしい」と回答。フルタイムで働く母親の3~4割は、学年に関わらず「夏休みの間、大人が家にいなくて世話に困ることがある」と回答。忙しい親たちにとって、夏休みは時間調整が大変といった事情もあるようです。


夏休みにやりとげたことを認めてあげよう!

地域によって夏休みの長さは異なりますし、家庭によって子どもと過ごせる時間も異なりますが、子どもたちが夏休みならではのチャレンジをすることで達成感を得て成長していくことに変わりはありません。取り組む内容は、親の理想とする「規則正しく過ごす」「毎日勉強する」といったことでなくても、「ちょっとした外泊体験」「靴をそろえる」「毎日プールに行く」「カブトムシを10匹捕まえる」でもよいのかもしれません。
長い夏休みの最後に、できなかったことを嘆くのではなく、なにかひとつでもお子さまがやりとげたことを認めて、ほめてあげてはいかがでしょうか。「今年の夏はホントによく遊んだ! えらい!」でも十分。最後は親子で笑って終われれば、自信を持って学校生活へ戻っていける活力になると思います。


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