読書感想文を書く【後編】 読書感想文の書き方

「本の選び方」に続いて、後編ではいよいよ「読書感想文の書き方」をお届けします。

以前実施したアンケートで、読書感想文に関して「お子さまが助けを求めてきたポイント」を聞いたところ、以下のような声が寄せられました。


  • 感想文の書き方自体がわからないようだった
  • まず何から書いていいのかわからない。語彙(ごい)が少ないので、「かわいそう」「おもしろい」「びっくりした」といった言葉しか浮かばない。
  • 初めての感想文だったため、段落分けに戸惑ったり、作文のルールからわからなかったようです。
  • 自分の言いたい事が正しく読み手に伝わるように表現できているか気にしていました。
  • 本の内容にあまり共感しなかったらしく、どう内容をふくらませたらいいのか悩んでいました。
  • 書いていると本のあらすじだけになってしまい、自分の感想を取り入れるのが難しかったみたいです。
  • 自分で感想を言えても文章で書くのができないようで、何度も書き直しをさせました。泣きながら書くときも。書かせると、本のあらすじばかりになってしまったり。
  • 主人公の感情を表している箇所が読み取れず、苦労していました。
  • お手上げ状態だった

さまざまな声がある中で、どの学年にも共通して多かったのは、「感想文の書き方の基本」に関すること。
(社)全国学校図書館協議会の森田盛行さんに、「読書感想文の書き方」について、アドバイスをいただきました。


読書感想文に選んだ本は最低でも3回は読む!

まず、大切なことは、選んだ本は少なくとも3回は読む、ということ。1回しか読まずに感想文を書くのは、大人にとっても至難の業です。ただし、読み方にもコツがありますので、その方法をご紹介します。

*1回目:内容を楽しむ
まずは、じっくり書いてある内容を楽しみましょう。
本との相性によって楽しめない場合があるかもしれません。その場合は、別の本にするという選択肢もありますので、諦めないでください。


*2回目:感想文を書くことを意識して読む
今度は少し考えながら読んでみましょう。「なぜだろう?」「私だったらこんなことはしないのに」
など、気になったところに付箋(ふせん)を貼っておくと、後で感想文のネタとして役立ちます。
付箋を貼る場合のキーワードとしては、以下のようなことが考えられます。
・気になったところ/ひっかかったところ/初めて知ったところ/なぜ(主人公や登場人物が)こんなことをした(言った)のか、と思ったところ/すごいと思ったところ/嫌だなと思ったところ

ここで、あまりに付箋の数が少ない場合には、文章表現に慣れていないお子さまにとって、感想文として仕上げるのは難しいかもしれません。別の本に変えてみるのもひとつの手です。


*3回目:付箋部分を中心に、気になったポイントについて考えながら読む
1回目には気づかなかったことが2回目ではクリアになるかもしれません。それでも付箋が残った箇所は、感想文の柱になる部分です。


読書感想文の書き方のポイント

読書感想文=文章を書くことですので、正しい原稿用紙の使い方など、作文の基本ルールを踏まえて書きましょう。


  • 書き出しは重要!
     書き出し=「文のまとめ」部分。 ここで、読む人の心をつかめるかどうかも大切です。いちばん疑問に感じたところや、印象的な会話などから始めるとよいでしょう。
  • 付箋部分のエピソードを中心に!
    「なぜだろう」と思ったところがたくさんあると、あらすじに関係なく、その子の考えを書くことができます。3つ程度のエピソードを選んで、「なぜそう思ったのか」「どんな風に感じたのか」「特にどの部分でそう感じたのか」「自分だったらこうする」などについて書いていきましょう。

親子で同じ本を読んで、感想を語り合うというのも大切なポイントです。誰かの意見を聞くことで、自分の意見が深まったり、視点の幅が広がったり……気づかなかったことが見えてくることもあります。


それでも「あらすじばかりの感想文」になってしまった場合には……

「下書きを見たら、あらすじばかりだった」とがっかりした保護者も多いようです。その場合には、もう一度、以下のようなことに取り組んでみてはいかがでしょうか?


  • 読書感想文コンクールの優秀作品など、よい見本を読んでみる(WEBで公開されている場合もあります)
  • (保護者も同じ本を読んだ上で)子どもと感想を言い合ったり、インタビューしてみる

よい映画を見た後、いっしょに見た人と自然に感想を言い合ったり、印象的だった場面について話し合ったりしませんか? 読書感想文も同じです。特に低学年のお子さまの場合には、保護者の問いかけで考えるポイントがつかめたりします。親子で同じ本を読んで語り合うことで、その子ならではの読書感想文を生み出してください。

読書感想文を書くことは教育の一環です。子ども一人ひとりが何を考えて、どう表現しようとしたのか、その過程が大切です。決して優等生的な答えが求められているわけではありません。
本を媒介として、その子自身がどう考えたか、何を感じたか、自分の言葉で素直に書くということを大切にしましょう。そして、何より読書を楽しむきっかけにしてください!


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