「忘れた」で悪びれない息子[うちの子、どう接したらいいの?]

今週の相談「『忘れた』で悪びれない息子」


「忘れた」で悪びれない息子[うちの子、どう接したらいいの?]


相談者
性別:男子
相談者:母
学年:小4

相談
小4の息子の忘れ物のことが気になります。特に私が気になるのは、「注意してもあまり気にしていない様子」です。集金袋や保護者会のお知らせなど、親に渡してほしいものはいつもこちらから何度も何度も声をかけて持ってこさせていますが、たいてい一回で持って帰ってくることはありません。「これだとお母さんは、いつどんな集まりがあるかわからないから困っちゃうよ」と言っても、「うん、ごめん、ごめん」と笑っています。
宿題などはそんなに忘れませんし、体操服や図工の道具などは忘れません。それは私が前の日にランドセルの準備を手伝っているからだと思うのです。どうしたらよいでしょうか?

福谷先生のアドバイス
小4の息子さんで忘れ物が多いとのことですが……親が何も指示しなくても「忘れ物」をしない男の子のほうが少数派でしょう。
お子さんが忘れ物をしても「気に留めない」ということについてですが、それはお母さんが強く指導しないからというわけではありません。一般的に小4の男子の場合、忘れても、本人はあまり困らないようになっているからです。
現代の小学校では帰宅させて忘れ物を取りに行かせることは安全上、行いませんので、昔のように「忘れたら取りに帰らなきゃ」ということもありません(笑)。
また、学校ではあらかじめ少数の忘れ物をする生徒を見込んだうえで、学習その他の児童の活動に対応している、ということもあります(特に小学校ではその傾向があります)。

大切なお知らせも一度では持ち帰らない、ということについてですが、小4ぐらいになると、重い本などは学校の机の中に入れていて、配布されるお知らせの紙もそのまま突っ込んでいることが多いです。その中から親に言われたものを取り出してきているのでしょう。そして、残念ながら親の目線では大切な連絡でも子ども目線からみれば、あまり大切ではないのでしょう。悪びれないということが気になるとのことですが、大切さが理解できないのですから、それはある意味あたりまえのことです。話を聞いていない・言うことを聞かない子というよりは、「大切さを理解していないからだ」とお考えください。「うん、ごめん、ごめん」と笑っています、とのことですがこの子にとってはプリントより大切な楽しいことが学校で多そうですね。
お母さんがおっしゃるには宿題などは忘れないということですから、この子にとってはプリントより宿題のほうが大切なのでしょう。それは悪い傾向ではないと思います。加えて宿題も大切だが授業も大切だと思っているようですね。良いことではありませんか?

体育着や図工の道具などについては母親からの援助もあり、忘れないとのことですね。この場合、「プリントより大切なことだからお母さんも手伝ってくれている」と子どもは理解する傾向があります。ですから、プリントに関してお困りであれば、どうぞ援助をしてみてください。

具体的な対策としては、以下をおすすめします。取り入れられそうなところはぜひ試してみてください。
1.小4と言えども毎日のように多くのプリントや資料を貰います。すべてのプリントを毎日かばんの中に詰め込み、帰宅する習慣を付けさせましょう(紙は軽いので抵抗はないでしょう)。
2.持ち帰ったプリント全部を「保護者用」「本人用」と分けてあげる。慣れたら本人が分別できるように促す。
3.年間行事表や各学期行事表・月別行事表などは保護者が管理して大切な予定は保護者の手帳に記入する。

お知らせが手渡されないのでお困りになることもあるでしょう。根本的な解決ではありませんが、対応法としてもうひとつ。
この時期の男の子の行動に期待や依存をするよりも、保護者間の横の関係を強化するほうが良い結果に繋がることがあります。入学式や卒業式の日程を一日、間違えても、保護者間の連携プレーで無事、対応できた、という例もあります。ご健闘をお祈りしています。

プロフィール



臨床心理士。臨床心理士コラボオフィス目黒理事 。二松學舎大学附属高等学校スクールカウンセラー。著書に『男の子の上手な育て方』。ご自身は、中学生のお父さま。

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