短時間の熟睡ができる「ショートスリーパー」になれる?

以前、このコーナーでいびきのことについて書いたら「記事を見て医者に行ったら、子どもが睡眠時無呼吸症候群だった」というコメントをいただきました。この記事が大切な大切なお子さんの運命を変えたかな? と思うと少し誇らしいですね。

そんなみなさんのコメントの中でも、かなりの数が集まったのが「どうやったらショートスリーパーになれる?」というものでした。日本人の平均睡眠時間は年々、減少傾向にあって、2005(平成17)年にNHK放送文化研究所が行った国民生活時間調査によると、平日の平均睡眠時間は7時間23分。年代別に見ると30代が6時間57分、40代が6時間59分と、ほぼ7時間を切る勢いですね。もしかしたら現代は、みんな長く寝たくない時代なのかもしれません。が、残念ながら結論はこうです。

  • 必要な睡眠時間は家系的なもの。遺伝で決まっています。
  • 特にお子さんの睡眠不足は大敵。夜の0時から朝6時までは、カラダの成長に必要な「成長ホルモン」が分泌されるので、できる限り寝かせてあげたいものです。

重要なのは、睡眠不足に耐えることより、自分が、家族が、どれくらいの睡眠を必要としているのか見極めておくことでしょう。ただし、お子さんがテストや受験を控え、どうしても睡眠時間を短くしたい時など、快適に目覚める方法ならあります。「レム睡眠」の終わりごろに起きると、非常に気持ちよく起きられるんです。

前にもお話しした「レム睡眠」。念のため、もう一度お伝えしておきましょう。人は眠っている間、深い睡眠と浅い睡眠を繰り返しています。深い睡眠の時は頭もカラダも休めている状態、浅い睡眠の時は、カラダは休みつつも、脳は忙しく記憶の整理などをしています。この時、人間は夢を見たり、寝返りを打ったりしていて、目もまぶたの裏できょろきょろと動いています。これが「Rapid Eye Movement」、その頭文字をとって「レム睡眠」と呼ばれる状態です。ちなみにこの間、脳は日中に体験したさまざまな情報を取り出し、整理しているので、新しい体験をした日などは「レム睡眠」が長くなると言われています。
ちょっと話がそれましたが、この「レム睡眠」の終わりごろは眠りが非常に浅いのです。目覚ましをかけずに眠り、朝、何となく目が覚めたりする時は、この「レム睡眠」の終わりごろであることが多いのです。


では、この時間に上手に起きる方法はないのでしょうか? いくつかあります。
  • レム睡眠は1時間半ごとに訪れます。6時間、7時間半くらいのタイミングで目覚ましをセットしてください。
  • 寝返りを打ったり、カラダをかいたりしたら「レム睡眠」のサイン。このタイミングで起こしてあげるのもいいですよ。

あとは、眠りの質を改善することで、睡眠時間を補うこともできます。トレーナーは寝返りを打ちづらい場合が多いようです。ちゃんとパジャマを着させてあげてください。あと、お子さんが寝具をはいだりしたら、それは室温が適切でないサイン。エアコンなどでコントロールしてあげたいものです。

なお、お子さんは体温が高く、お年寄りは……体温が低いので、寝具にも多少、差があるのが自然です。一緒の部屋でお休みになる場合は、注意してあげてください。

プロフィール



スリープクリニック調布院長。医学博士。長年にわたり、睡眠のメカニズムと脳の働きの関係について研究。現在、日本睡眠学会認定の「睡眠の専門家」として活躍中。

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