食べることに関心のない子が増えている!?[食育につながるワンポイント]

「家庭でできる食育」とはなんでしょうか。管理栄養士・医学博士であり、テレビや雑誌などで広く活躍されている本多京子先生にお話を伺います。

お菓子にも関心を持てなくなっている!

最近、食べることに関心を持てない子どもが増えていると言われています。飽食の時代と言われるとおり、子どもたちはお菓子やジュースなど、好きなものがいつでも、手軽に手に入る社会に生きています。そしてそんな社会では、子どもたちはおいしいものにあこがれたりすることも少なく、空腹を抱えたりすることはほとんどありません。豊かさを享受する一方、食に対する渇望感や飢餓体験の乏しさが、子どもの食への関心を奪っているようです。

「でも、これは決して子どもだけの問題ではなく、大人でも同じだと思います。昔はお腹いっぱいに食べることは幸せな体験でした。しかし今は、食べ物があふれ、好きなものを好きな時に食べられる。ですから、なにも今慌ててたくさん食べなくてもいい、と私たちは思うようになっています。私の周りにも、満腹になることは気持ち悪い体験だと思っている若い人はいますよ。しかも、子どもたちは塾通いやコンピュータ・ゲーム遊びのため、ますます体を動かさなくなっているから、そもそもお腹も空かないんです」(本多先生)
食べることを軽視するようになった若い世代の人たちは、ファストフードやインスタント食品で簡単にお腹を満たし、その代わりにファッションや趣味にお金や時間をかけるようになっています。
「実は最近、お菓子の嫌いな子どもが増えていると言われています。スナック菓子も、子どもよりも大人が買っている。子どもの時にお菓子に夢中になった大人たちが、売り上げに貢献しているのが実情のようです」(本多先生)

体と頭の両方から食欲を刺激する

子どもの食への関心を高めるためには、まず間食をできるだけなくした規則正しい食生活を送ることです。1日3度の食事時間に、ちゃんとお腹が空くような生活を、まずは保護者が作っていくことが大切です。
しかし、それだけでは十分ではない、と本多先生は言います。
「子どもに食事を作る手伝いをさせることで、食への興味・関心を高めることが欠かせません。生理的な空腹状態を作るだけでなく、知性の面からも食欲を刺激することが家庭で求められていると思いますよ」
親子で食事の準備をする過程で、子どもたちはさまざまなことを学び、そして食への関心を高めていきます。
「親子で話をしながら料理を作れば、子どもは食材についての知識を持つでしょうし、お店で材料を買って、お金を払ったりする過程では、流通のしくみや経済にも関心を持つようになるでしょう。同じ野菜でも、お店によって、さらには季節によって値段が違うのはなぜか、そんなことを話しながら買い物をすることは、子どもにとって素晴らしい体験だと思いますよ」(本多先生)

食をとおして、私たちは子どもにさまざまなことを教えることができます。そして、食に関心がないということは、単に「味わうこと」に関心がないというだけにとどまらず、社会の出来事や自然環境に関心がないということ、つまり生きることそのものへの関心が弱くなってしまうことだと、本多先生は言います。
「ぜひ、スーパーに子どもと一緒に出かけて、どの魚がどんな形をしていて、そしてどんなふうに調理して食べるのか話をしてみてください。そして、実際に料理をして、味わえば、その体験は生きるための知識として子どもの身に付くはずです。そうすればきっと子どもの食欲、食への関心を取り戻せるでしょう。」

プロフィール



本多ダイエットリサーチ主宰。医学博士・管理栄養士。日本体育大学女子短期大学で講師として小児栄養を担当。著作は『あなたのカラダは食で変わる』『1600キロカロリーの献立–生活習慣病のメニュー』 など多数。

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