なぜ長期休暇が始まると睡眠時間がずれるの?

学校が長いお休みに入ると、毎日のように「いつまで寝てるの!」「いつまで起きてるの!」と声をかけなければならず、お困りになる家庭も多いようです。ところが……ちょっとびっくりされるかもしれませんが……人間の体は放っておくと夜ふかしするようにできているのです。そこで連載1回目は、人は放っておくと夜ふかしをしてしまうメカニズムと、どう対処すればよいかをお伝えしたいと思います。

まず、規則正しい生活を送っている人がなぜ決まった時間に眠くなり、決まった時間に目が覚めるかというと、人間の体には「体内時計」が内蔵されていて、このサイクルに従って体が「そろそろ眠いな」などと判断しているからなんです。そして、眠るべき時間が来ると「メラトニン」という眠くなる物質が脳内で分泌されるなど、体はぐっすり眠る準備を始めます。
ところが……なぜかこの「体内時計」、一日25時間の周期でまわっているんです。仮に温度や湿度が一定で、時計もなく、日光が完全に遮断された場所で暮らすと、人間は約25時間の周期で生活するようになると実験の結果でも判明しているんですね。だから、夜になっても明かりが灯り、外を歩けば24時間営業の店があり……といった状況では、今日21時に寝たのに、明日は22時、その次は23時に、と寝る時間が遅くなっていくのは当たり前のことなんです。

ではなぜ、人は規則正しい生活を送れるのでしょうか? その鍵は「光」にあります。人間は毎朝、太陽の光を浴びた瞬間「あ、今が朝なんだな」と体内時計をリセットして、そこから24時間をカウントし始めるんですね。「眠いな」と思いながらも起き、太陽の光を目にしながら会社や学校へ行く準備を始めることで「夜はこの時間に眠る」と体内時計のアラームをセットしているんです。そこで、今月の対処法です。

朝、決まった時間に太陽の光を浴びる

たとえ深夜の3時に寝ても、午前7時に太陽の光を浴びれば、体内時計は「午前7時が朝」という感じでリセットされます。そして睡眠が足りなければ、太陽の光を目にしたあと、二度寝や昼寝をしてもよいのです。体は朝見た太陽の光を覚えていて、夜の一定の時間が来たら眠くなる物質を脳内で分泌するなど「眠る」準備を規則正しく始めてくれます。具体的に言えば「眠ければ二度寝をしてもいいから、昼寝をしてもいいから」と前置きしたうえで、必ず両親と一緒に朝ごはんを食べるなど、一定の規則を設けることが大事です。

なるほど、と思った皆さん、これ、月曜の朝にも応用できますよ。毎晩12時に寝ているかたが金曜に夜ふかしをして1時に寝て、土曜の夜は2時に寝て、日曜の夜には3時に眠る……これでは月曜の朝、体が「まだ寝ている時間だよな」と判断し、起きるのがツライのは当たり前です。そこで、夜更かしをしても土日の朝方にちょっと目を覚まし、朝日だけはちゃんと浴びておけば……。

プロフィール



スリープクリニック調布院長。医学博士。長年にわたり、睡眠のメカニズムと脳の働きの関係について研究。現在、日本睡眠学会認定の「睡眠の専門家」として活躍中。

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