どうしたら子どもが「努力」するようになるの?

「そこそこ」で努力しない

中学1年生の我が息子を見ていて最近強く感じることですが、学校の成績を上げるために、あまり自分から進んで努力しようとしません。決して成績が悪いわけではないのですが、かといって成績上位というわけでもなく、いわゆる「そこそこ」です。息子に言わせると「僕よりもできない子もいるから大丈夫」となります。

俯瞰(ふかん)して見れば、たしかに今の成績自体は大きな問題ではないかもしれません。それよりもむしろ、現状に満足し「もっとよくなろう」という前向きな気持ちをもてず、努力をしないことのほうが問題です。

学校の先生がたとお話をしていても、我が息子のような子どもが増えているという印象をおもちのかたが多くいます(もちろんそういう子ばかりではないですが)。

では、どうしたら子どもたちが自分から進んで行動し、努力をするようになるのでしょうか? これは、もちろん簡単に答えの出る問題ではありませんので、以下の例示とともにぜひみなさんといっしょに考えていきたいと思います。

目に見える達成感

子どもに『勉強は何のため?』と聞かれたら」で、「具体的にほめることで子どもが達成感を味わうことができ、それが自信につながる」と述べました。この方法は子どもを前向きに変えるための重要なポイントです。

さらにいえば、どうやって達成感を味わう機会をつくるかということも大事です。たとえば、富山県のある小学校では、朝の掃除活動に徹底的に取り組んでいました。掃除がどうして達成感を味わう機会となるのでしょうか。校長先生はこんなことをおっしゃっていました。「学校の勉強は、努力してもすぐに成果が表れにくい。でも掃除は、がんばってきれいにすれば、その場できれいなった状態を自分自身で確認することができます。もちろんきれいにして先生にほめられるという要素もあるけれど、きれいになった事実をすぐに自分で実感できることが大きいのです」

なるほど、掃除はとりかかるまではおっくうですが、これが習慣化してしまえば、毎日小さな達成感を得る絶好のチャンスとなるかもしれません。

身近で具体的な目標

小学校高学年くらいになると勉強する意味を考え出すようになります。「子どもに『勉強は何のため?』と聞かれたら」で述べましたが、勉強の中に「やった」「できた」と実感できる機会を多くつくることで達成感を生み出すことができますし、それは子どもをやる気にさせるうえで重要です。でも、小学校高学年から中学生になると、楽しい勉強内容ばかりではなくなります。つまらなくても我慢して、努力をして取り組まなければ理解できない内容もだんだん増えてきます。

「努力する」ためには「理由」が必要です。この「理由」にあたるのが「目標」だと思います。目標を明確にもっている人は、それに向けた努力をすることができます。たとえば「中学受験」は、入りたい中学校を目標とすることで「努力」が生まれているとすれば、それはとても意味のあることです。

でも小学生全員が中学受験をするわけではありません。ですから、もっと身近な目標を立て、それに向けた学習の取り組みを奨励することがよいと思います。気を付けなければいけないのは、「目標を具体的にする」ことです。「テストで80点をとる」というだけでもまだ抽象的です。その目標に到達するために、何をどれくらいやればよいのかという目標達成までのプロセスを子どもがイメージできなければ、結局絵に描いた餅(もち)になってしまいます。例えば「問題集の○ページから●ページまではすべて解けるようにする」という目標ならば、何をすればよいのかがもう少し具体的になりますね。

勉強に楽しく取り組めるに越したことはありません。でも楽しく勉強できる人はあまり多くはいません。だからこそ「勉強はつらい、苦しいものだ」という実感をもちつつ、それでも努力することの大切さを、小学校のうちから少しずつでも身に付けてほしいと思います。

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「進研ゼミ小学講座」は1980年に開講して以来、「チャレンジ」の愛称とともに全国の小学生のやる気をひきだす自宅学習教材として親しまれてきました。現在、小学生の約5人にひとりが会員という、最も利用されている自宅学習教材です。

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