「ゆとり」の時間を子どもたちはどう過ごしているのでしょう?


完全学校週5日制が始まって1年。文科省のねらいとしていた「ゆとり」の時間を子どもたちはどう過ごしているのでしょうか。
文科省、ベネッセ教育総研の調査結果を見てみましょう。


先日、文部科学省から「完全学校週5日制の下での地域の教育力の充実に向けた意識・実態調査」の結果が発表されました。全国の公立小・中・高校の児童・生徒とその保護者を対象に、完全学校週5日制について子どもと保護者の実態や意識について調査したものです。

保護者が望む休日の過ごし方と子どもの実態にギャップ
とりわけ目をひいたのは、保護者の6割が「子どものテレビやビデオを見る時間が増えた」と見ており、3人に1人の子どもが「することがなくてつまらない」と答えている点です。

ベネッセ教育総研が昨年9月に行った「第2回子育て生活基本調査」でも、休日の過ごし方について興味深い結果が出ています。小学生の保護者の多くが「子どもに望む休日の過ごし方」として、「友だちと屋外で遊ぶ(48.0%)」「子どもの好きなこと(趣味)を楽しむ(43.2%)」を挙げ、家で勉強するだけではなく、子どもたちに社会・自然体験などに積極的に取り組んで欲しいと願っています。

ところが実際には、子どもたちは「テレビやビデオを観る(24.4%)」「テレビゲームで遊ぶ(21.0%)」という過ごし方をしています。(図1)。なぜ、休日の過ごし方についての保護者の希望と実際の過ごし方にギャップが起きているのでしょうか。

子どもの休日過ごし方

「遊ぶ」というのは怠けることでも気晴らしをすることでもない
日本カウンセリング学会理事長として、社会に適応できない若者が急増している問題に取り組んでいる田上不二夫・筑波大学教授は、「遊べない子どもの増加にその原因がある」と言います。

「遊ぶというのは、自分で創意工夫して楽しいことを創り出していく、非常に主体的で積極的な活動です。自分が心から楽しむためには豊かな空想力や創造力、友だちとのコミュニケーション能力などが必要になります。これは学習を進める上でも不可欠な要素なのです。自分から遊ぶことができる子どもは学校の成績も伸びると断言できますね。ただし、保護者の方に注意していただきたいのは、遊ぶというのは怠けることでも気晴らしをすることでもありません。せっかくの休日をテレビやゲームといった受身的な『気晴らし』で浪費することは非常にもったいないと思います。」(田上教授)


子どもが主体的に「遊ぶ」ために保護者ができることは?
子どもたちが休日を活用して積極的に遊ぶ(興味を持ったことに主体的に取り組む)ことができるようになるために、保護者はどうサポートすればいいのでしょうか。

「子どもが学校や先生から与えられるもの以外に興味を持ったとき、一緒になって調べてみるなど、子どもの興味・関心を認めて、肯定してあげることが大切です。」(田上教授)


楽しいと思ったことに夢中で取り組んだ経験を重ねていくことが、子どもの豊かな人間性と高い学力を両立させるカギなのではないでしょうか。


※ベネッセ教育総研とベネッセ未来教育センターは05年4月に統合し、新名称「ベネッセ教育研究開発センター」に変わりました。

プロフィール



「進研ゼミ小学講座」は1980年に開講して以来、「チャレンジ」の愛称とともに全国の小学生のやる気をひきだす自宅学習教材として親しまれてきました。現在、小学生の約5人にひとりが会員という、最も利用されている自宅学習教材です。

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