水泳【後編】:良いスイミング教室とは[習い事入門]

イトマンスイミングスクールのカリキュラム
全国で1カ所しかない東京スイミングセンター(SC)に対して、同じように強豪選手育成にかけては実績があるイトマンスイミングスクールは全国に90数校あります。今回は東京都練馬区上石神井にあるイトマンスイミングスクールの本部を訪ねました。
お話を伺ったのは主任コーチの田中卓也さんです。
二つの教室はずいぶん違うところもありましたが、共通するところもたくさんあって、強豪選手を自前で育てている教室の底力を感じました。
共通していたのはカリキュラムがしっかりしていたこと。
東京SCは24段階でイトマンは25段階と1級違いましたが、息継ぎなしのクロール、息継ぎありのクロールというようにこまかく段階分けして押さえるべき基本を徹底的に教えていました。そして同じく地元の子を大切にして教えています。
「上石神井だけでジュニアクラスに2,000人もいます。地元の人に支持されているから続けられるのです」。
地元の子を大事に育てるという謙虚さに打たれました。

親が無関心だと伸びない
イトマンのジュニアクラスは毎日授業が行われ、週1回から3回が選べます。
昇級試験は月1回。3回続けて上がれないとコーチが重点的にその子を指導し、親に連絡ノートをつけて「励ましてほしい」などと応援を頼みます。
「上がらないとやめたくなるでしょ。でも親が応援してくれたり水泳に関心をもってくれたりすると、上達も早いし長続きするんですよ」
つまずくことはどの子にもあります。そのとき親が「くじけないでがんばろう」などとフォローするとやめないそうです。
イトマンでは欠席がちの子にはコーチから家に電話したりノートに書いたりします。つまずいたときもメモを入れます。
「ところが、そのメモが次の回もノートに挟まれたままだったりすることがあるんです。親が無関心だと、子どもは挫折から立ち直れず、やめてしまいます。いっしょに喜んでくれたり、励ましてくれたり、ほめてくれたりすると長続きするんですよ」。
子どもは保護者とコーチで見守って育てていくことが大切なのです。
「やめたい」と言ったら理由を聞き、たまにはプールに足を運んであげてください。そういう温かい支援が子どもを伸ばすのです。

小1のうちから「選手コース」にスカウトする理由
イトマンでは、25段階クリアしたところで選手コースに入る子もいますが、それ以前に、小学1年生くらいから週6回の「選手コース」に入るようにコーチが積極的に働きかけることもあります。それはどういう子でしょうか。
「体が大きい。進級が早い。キックが強くて速く泳げる。見た目にも手の動きなどがきれい。練習を休まない。明るい……。小さいときから選手コースに入って地域の大会などに出場すると保護者も熱が入ります。応援してもらえるので伸びていきやすいんです」。
でも小1でスカウトする最も大きな理由はこんなところに潜んでいました。
「小4くらいでスカウトしてもコース変更したがらないのです。塾には勝てません。実際小学6年生、中学と学齢が上がるにつれて切られるのはスポーツです」。
田中さんの「塾には勝てない」という言葉には実感がこもっていました。
さらにサッカーや野球、習い事は目白押しです。
少子高齢社会で子どもを教える人は数多くいるので、見方によっては子どもの奪い合いになっています。
スイミングに打ち込んでもらうには早い段階でスカウトしなければならないという事情を浮き彫りにする言葉でした。

良い教室の選び方
東京SCもイトマンも、地元の子をとても大事にしています。
そして基礎の要所をこまかく徹底して教える点でも一致しています。
そして24ないし25段階をクリアした子は選手コースに入らなくても、中学校の部活で水泳部のキャプテンになったり、クラスのなかで水泳が得意な子になれたりする力量を獲得できます。
「強豪選手を自前で育成している教室はきっちり教えています」。
田中さんの言葉に深くうなずきました。
ここで田中さんに「良いスイミング教室」の選び方を教えていただきました。
「カリキュラムがしっかりしていて保護者に情報開示しているところがいいですね」。
そしてこう勧めます。
「うちもしていますが、体験入室ができるところはぜひ体験してみてください。何校か体験してみると我が子に合った教室を見つけることができると思います」。
その言葉から、たくさんの人たちに選ばれてきたスイミング教室としての自負が伝わってきました。
「水泳ができるということは目に見えない本人の財産になります。小さいときやっておくと大人になっても体が覚えています。水泳が健康にいいことは実証されています」。
水泳はたしかに一生もののスポーツなのです。


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(2007年2月:Benesse教育情報サイト)

プロフィール

杉山由美子

NPO法人 孫育て・ニッポン理事長、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事。「母親が一人で子育てを担うのではなく、家族、地域、社会で子どもを育てよう」をミッションに、全国にて講演、プロジェクトを行う。東京都北区多世代コミュニティー「いろむすびカフェ」アドバイザー。産後のママをみんなでサポートする「3・3産後サポートプロジェクト」発起人。著書、共著に「ママとパパも喜ぶ いまどきの幸せ孫育て」(家の光出版)。

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