[調査]小中学生のころの体験が大人になってからの仕事生活に与える影響


6月29日に「若者の仕事生活実態調査」(Benesse教育研究開発センター)の調査結果を発表しました。そのなかで、25〜35歳の若者の仕事生活と、小中学生のころの体験との関係がデータで明らかにされています。保護者のかたにとっては、目の前の子どものしつけや学力も重要ですが、それと同時に、子ども時代の生活のどんなことが将来の仕事生活と関連するのかについても、関心があると思います。今回は、少し先まで見越したときにどんなことが子どもにとって大事なのかを考えてみたいと思います。

ふだんの仕事のなかでできていることと
仕事の充実感との関係について


「若者の仕事生活実態調査」は、そのタイトルのとおり、現在の若者(25〜35歳)の仕事生活について調査しています。そのなかで、小中学生のころの体験を振り返って答えてもらった項目があります。それらの項目と、現在の仕事生活との関係を見ていきたいと思いますが、その前に現在の「仕事の充実感」と「ふだんの仕事のなかでできていること」との関係を確認しておきましょう。

【図1】は、調査対象となった若者を、「仕事の充実感」の程度によって高・中・低の3つのグループに分け、それぞれが「ふだんの仕事のなかでできている」と思っている項目についての割合を示したものです。(差が大きかった5つの項目について)

【図1 ふだんの仕事のなかでできていること(仕事の充実感レベル別)】

特に「将来の目標をもって仕事をすること」は、「充実感・高」の63.1%に対して、「充実感・中」41.7%、「充実感・低」24.5%と、レベル毎の割合に大きな差が見られます。
仕事に充実感を感じている人は、『将来の目標をもって、他者と上手に関わりながら主体的に行動している』、そんな姿が想像できます。皆さまも「将来、子どもが充実感をもって生活を送ってほしい」と思われているのではないでしょうか。それでは、現在の仕事生活に関するこれらの項目が小中学生のころのどのような体験と関係しているのかを見てみましょう。

小中学生のころの体験との関係

ここでは、「仕事の充実感」と関連が見られた上位3つの項目「将来の目標をもって仕事をすること」「自分の考えをわかりやすく説明すること」「自分から率先して行動すること」を取り上げます。それらの項目で自己評価(「できている」「まあできている」と「あまりできていない」「ぜんぜんできていない」)別に見たときに、小中学生のころの体験で最も差が見られた上位3つの体験をあげてみました。【図2】
たとえば、【図2】の(1)を見ますと、「将来の目標をもって仕事をすること」について自己評価が高いグループと低いグループで、「親と将来のことについて話をすること」という体験で最も差があることがわかります。その差はグループ間で18.5%でかなり大きいものです。それに続いて差があった体験は、「自分のやりたいことを大切にすること」「親や学校の先生以外の大人と話をすること」です。

【図2 小中学生のころの体験との関係(仕事の態度・能力に対する自己評価別)】







まず全体として、小中学生のときの体験が大人(25〜35歳の若者)になってからの仕事に対する自己評価に関係していることがわかります。さらに、どのような体験が仕事に対する自己評価と関係しているかを見ると、「親と将来のことについて話をすること」「親や学校の先生以外の大人と話をすること」(★印のところ)が(1)(2)(3)の項目で上位にあがっています。

この調査では小中学生のころの体験を31の項目で聞いています。たとえば、体験として「家で勉強すること」「部活動に熱心に取り組むこと」、親の様子として「子どもの教育に熱心だった」「誇りをもって仕事をしていた」、親のしつけとして「規則正しく生活すること」「友だちを大切にすること」などです。それら多様な項目のなかから、親も含めて大人との対話に関する項目が上位になっていること、つまり強い関係が見られたことは注目されます。
子どもの将来の仕事生活にとって、自分より年齢が上の大人とのコミュニケーションが重要な役割を果たしている可能性があります。私自身の過去を振り返ってみると、さまざまなかたとの関わりのなかで教えられたことが、現在の仕事や人生に大きな影響を与えていることに気がつきます。

最近は、人とコミュニケーションをもつことが難しい社会になってきていることを感じます。このような時代にあって、お互いに理解し合うようなコミュニケーション、それを成立させる人間関係を子どもとの間でもつくっていくことが大事になっているのではないでしょうか。

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