父として、母として、こう考えたい役割分担

期間 2006/2/8〜2/12

前回に引き続き、テーマは「父親・母親の役割」です。前回(前編)では、パートナーが子育てや家事をどのくらい協力してくれるかについて「教育発見隊」アンケートの結果をご紹介しました。今回は後編として、主に子育てのなかで父親と母親がそれぞれできることは何か、さらに、子どもに必要な父性・母性とはどういうものなのかを考えたいと思います。

父親の帰宅時間は夜8時台が目標?!

昼間は仕事で、夜も帰宅は夜10時過ぎ。子どもとゆっくりかかわれるのは週末で、平日はなかなか難しい……そんな父親は多いと思います。お寄せいただいた自由回答からは、時間を見つけては子どもと遊んだり、母親をサポートしている父親の姿が見られる一方で、もっと子どもとかかわってほしいという期待や不満を抱く母親の声も聞かれます。(カッコは子どもの学齢。以降同じ)


  • 受身ではなく、父親自ら積極的に子どもとふれあってほしい。(小学校入学前)
  • 主人は仕事、飲み会(接待を含む)、ゴルフで、家には週に1日いればよいほう。家のことはともかく子どものことはもっとかかわってほしい。(小2)
  • いずれ親から離れようとする時期が来るのだから、それまでにいい親子関係を築いてほしい。(小4)
  • 子ども(男の子)が思春期に入っているので、男親としてしつけ面でもっと参加してほしい。ゲームばかりしていたら、きちんとしかってほしい。(中学生)

【図1】は、父親の帰宅時間帯ごとに、子育てへの参加度合いを見たものです。帰宅時間が早い父親ほど子育てにかかわる頻度が高いことが分かります。とくに「寝かしつける」「お風呂に入れる」の2つは、父親の帰宅時間が夜7時台までと、9時台以降でかなりの開きがあります。この2つは、子どもの年齢が低いほど父親もかかわる機会が多い項目です。にもかかわらず、小さい子どもほどお風呂や就寝の時間が早いため、父親が子育てに参加できるかどうかは帰宅時間に左右されてしまいます。今回の結果を見る限り、その境目はどうやら夜8時台のようです。

【図1 パートナーの帰宅時間と子育てに参加する頻度】



帰宅時間の違いで大きな差が見られない項目もあります。それは全体を通してもっとも参加の頻度が低い「一緒に外で遊ぶ」。外遊びは週末にゆっくり、というケースが多いのでしょう。

昔の子どもは自分の能力のぎりぎりを試す冒険のような外遊びがあり、それを乗り越えて自信をつけ、たくましくなりました。しかもこうした父性的な遊びは、かつては父親をとおしてだけではなく、子どもたち自身の集団遊びなど地域社会で行われていました。地域と家庭のかかわりが薄れ、防犯上の理由などで子どもの好きなように冒険や外遊びをさせてあげられない今日、この育みを家庭のなかで意識的に行う必要があります。まさに父親の出番と言えるでしょう。実際、Benesse次世代育成研究所が2005年12月に発表した「乳幼児の父親についての調査」(調査対象:就学前の子どもを持つ父親、有効回答数:2,958)の結果を見ると、父親の79%が「もっと子どもと一緒に外で遊びたい」と思っていることからも、父親自身の意識や意欲は高いと思われます。

子育てに不可欠なパートナーとの“あうんの呼吸”

限られた時間のなかで、父親が育児に参加するにはどうしたらいいのでしょうか? その“難関”を突破するには、まずは父性・母性に対する固定観念を見直す必要があるようです。

教育学や子どもの発達的人間学(教育人間学)を専門とされている東京大学大学院教授・汐見稔幸先生は、「一般的に、父性とは突き放す論理、母性とは受容する論理と言われますが、両親がその役割を機械的に分担すればいいというものではありません。両親が父性と母性を共有し臨機応変に対応することによって、子どもの社会性は育まれていくのです。父親のほうが突き放すのが上手で、母親のほうが受容するのが上手でもかまいませんし、その逆でもいいのですが、ここで重要なのは夫婦の“あうんの呼吸”。夫婦間でよくコミュニケーションをとり、どちらがどちらの役割を担うのかをその場ごとにうまく分担できることです。そして、育児経験を積みながら学んでいくことが大切です」とアドバイスされます。

今回のアンケートにお寄せいただいた自由回答を見ても、まさに“あうんの呼吸”で子育てを行っているケースが見られます。しかし、そんな方々も含めて、多くの父親と母親の間で意見が食い違うことは多々あることでしょう。具体的にどのような場合に意見が分かれるのかを伺いました。

  • 考え方、しかるポイントなどは一緒なのですが、私はどうしてもガミガミ言ってしまいがちなので、それを注意されることは多々あります。(小1)
  • 母親は子どもの精神的な面も理解しながら行動するが、父親は考えず行動するので、時に子どもの心を傷つける結果になるときがある。(小2)
  • 教育の方針。妻はやや高望みですかね。(小3)
  • 私にとっては、子どもだけで繁華街へ行くというのはまだまだ早いと思うのですが、主人は男の子ならばもういいのではないかと思うらしく、私がなぜ問題にしているのかわからないようでした。(小3)
  • ゲーム機を買うか買わないかで意見が分かれた。その他、お年玉の金額、こづかいを与える時期などでも意見が分かれた。(小5)
  • 兄弟けんかの仲裁に入るとき。(小6)
  • 学校公開などの行事への参加については、よく意見が分かれます。平日に行われるのだから、父親は参観できなくて当たり前だと思っているのは少し寂しく思います。(小6)
  • 習いごとに関して意見が合わないです。塾などに行かせようとしても反対したりします。主人は勉強よりも人間としての成長に重点を置いています。(小3)
  • 子どもの進路です。夫は第一子が男の子ということもあり、すごく期待していますが、子どもが自分のしたいことを見つけられるのかと心配になります。(中学生)
  • 私は、学校から聞いた話や、他のお母さんたちから聞いた話などを基準にいろいろ考えを述べるが、主人は、昔の自分の子どものころのことを基準として話すので、意見が分かれることがある。(中学生)

子育てについて話し合うのは1週間に1時間程度

今回のアンケートで、パートナーの子育てに関する精神的なサポート感と満足度の関係をみてみたところ、父親と母親が協力し合っている、理解し合えていると感じている人は、実際の満足度も高いことがわかりました【図2】。

【図2 精神的なサポートと満足度の関係】

   *「思う」は「とてもそう思う」「まあそう思う」の合計
    「思わない」は「あまりそう思わない」「ぜんぜん思わない」の合計


当然のことかもしれませんが、普段からきちんとコミュニケーションをとることが、子育てへの満足度を高めるポイントでしょう。たとえ意見が違っても、よく話し合うことで解決の糸口が見えたり、もし相容れなかったとしても、お互いの考えに耳を傾け、話し合えたことについて納得感を得られるのではないでしょうか。また、子どもにとっても父親と母親が一つの問題を解決するためにしっかりと向き合い、話し合っている様子を見ることはマイナスにはならないはずです。

ところが、「子育てに関することについて、あなたはパートナー(妻/夫)とどのくらい話していますか?」という質問をしたところ、「1週間で1時間以内」との回答がもっとも多い結果となりました【図3】。もしかしたら、意識せずにもっと話しているのかもしれませんが、少々心細い気がします。

【図3 子育てについてパートナーと話す時間(一週間あたり)】


もちろん、家族の数だけ、コミュニケーションのとり方も異なれば、父親・母親のあり方や子育てに対する考え方も異なるはず。最後に、父親・母親の役割として「こんなふうだったらいいな」という皆さまの願いをご紹介します。皆さまはどんな「家族」になりたいですか? そして、そのなかでできることから一つだけでも改善してみてはいかがでしょうか?


  • 無理なく、自然に、一緒に……。(小学校入学前)
  • 性別の違いを意識させず、一方が困っていたり、忙しかったりするときに自然に手助けができる関係が理想。そのためには父親にもう少し家事スキルを身に付けてほしい。(小学校入学前)
  • 「分担」というより、「共同」でありたい。社会(会社)がもう少し父親の家事・育児への参加に対する理解を深めてほしい。(小1)
  • 夫婦はお互い育ってきた環境が違うが、子どもに幸せになってほしいという気持ちは同じ。だから、どのように幸せになってほしいかを十分話し合うべきだと思う。両親ともに子育ても仕事も半々のスタイルが理想。(小1)
  • 実際に子育てなどに協力しなければ、子育ての大変さや家庭の大切さなど理解しにくくなると思う。育児に参加することで、子どもに関する考え方や思いはだいぶ変わるようです。やっぱり家族がいてよかった! と思えるような、家族がいてパートナーも成り立つ…持ちつ持たれつのような関係が大切な気がします。(小学校入学前)

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