いまどきの「父親」と子どもの関係

先週公開した 第2回「父の日」について「特別なことをした家庭は・・・57%」では主な質問の回答数値をまとめました。
今回は「詳報版」をお送りします。速報版と合わせてご覧ください。

■ 「父の日のプレゼント」 昔と今
■子どもと父親の接触時間は増えてきている
■大人が子どもを叱らなくなった
■父親と母親の役割分担
■父親と子どもの新しい関係
■父の日ってなんだ

 
■「父の日のプレゼント」 昔と今

「父の日」の由来は、20世紀の初頭、アメリカのある婦人の提唱によるものだとされています。婦人は、早くに母を亡くし、父親の手で育てられました。そんな彼女が「母の日」の存在を知り、父に感謝する日も必要だと考えて、1909年6月に教会にお願いに行ったことが始まりだそうです。
アメリカでは、1972年に「父の日」が正式に祝日となっています。一方、日本では1950年頃から広まり始め、一般的な行事となったのは1980年代と言われます。恐らく、現在小学生の子どもを持つ親世代(30歳代前後)が子ども時代の頃から「父の日」が一般的になったと考えてよいでしょう。

では、今の親世代が子どもの頃と現在と比較して、「父の日」の考え方やプレゼントに違いがあるのでしょうか?
回答いただいたフリーアンサーを見てみました。
回答をいただいた多くの親(主に母親)自身が子どものときの「父の日」のエピソードとしては、

  • 「母の日ははりきってプレゼントを用意していたが、父の日は忘れることがほとんどで、覚えていても何をしたら喜ぶのか分からずうやむやにした」

  • 「父の日のプレゼントは何をあげればいいのか、いまだにわからない」

  • 「仕事人間の父親だったので父の日にイベントをした覚えがない」

  • 「ネクタイを贈ったが一度しか使ってもらえなかった」


などと、少し寂しい父の日も模様が垣間見えました。
なかには「うっかり父の日を忘れたら叱られた」などという、笑えないエピソードも・・・・。

一方、今回のアンケートで「父の日」への子どもからのプレゼントとして多かった回答は3つです。
代表的な回答の例は

  1. 「肩たたきチケットを作ってプレゼントした」

  2. 「絵を描いたり、お手紙をプレゼントしたりした」

  3. 「お父さんの好物を作って、夕食をいっしょにたべた」


というもの。このほかに

  • 「ネクタイを買ってあげた」

  • 「シャツをプレゼントした」

  • 「子どもが小遣いを出し合ってプレゼントを買った」


など、お金で買ったプレゼントもありましたが、多くは、お金をかけずとも真心のこもった作品や、お父さんとの楽しい時間を共有する、といったものです。

これらの回答からは、どうやら今の「父の日」の方が、より接近感が強く、以前よりも充実しているようです。
父親の子どもとの関係も以前と変化してきているのかもしれません。では、父親と子どもとの関係をもう少し詳しく見てみることにしましょう。

 
■子どもと父親の接触時間は増えてきている

小学生、中学生の子を持つ多くの親が子ども時代をすごしたのは、1970年代。高度経済成長の後期〜成熟した経済大国へと一気に成長を遂げた時代でした。そんな中、当時の世の「お父さん」たちは「企業戦士」として、月〜土曜日、朝から晩まで働くといった生活が一般的でした。
当然、家に帰ってくる頃には、子どもはすでに寝ていることも多く、父親と子どもの物理的な接触時間はあまり多くはなかったと言えるでしょう。

では、現在は、父親と子どもの接触時間は以前より増えているのでしょうか?
Benesse教育開発センター(旧ベネッセ教育研究所)には、「お父さんと一緒にご飯を食べる」割合に関して、1983年と2002年のデータ【下図】があります。それによると、「毎日食べている」という割合は83年には23%、2003年は26.7%と、若干ですが増えています。
かつては、土曜日も仕事にいくことが普通だったので、土曜日が休日である現在の方が、休日などに父親と接触する機会が増えているのかもしれません。


 

■大人が子どもを叱らなくなった

一方、最近世の中の価値観が多様化してきました。それに対応して学校教育でも、家庭の価値観や子どもの個性を尊重し、一人ひとりに応じた多様な教育を実践するようになってきました。そうした教育では、子どもの「よさ」をみつけ、それを上手に褒めることが中心となるため、「叱る」ことは少なくなります。また、学校教育を含めた世の中全体が、「子ども」を厳しく叱らなくなってきているようです。

たとえば、コンビニエンスストアの前にたむろしたり、駅の通路で座り込んだりする中高生たちに、不快感を感じながらも「みんなに迷惑だ」と叱る大人がどれだけいるでしょうか。自分とは関係のない「周囲の人」とは、大人であろうと子どもであろうと関わりたくないという人たちが増えてきています。むしろ「関わり」を「リスク」と考える人が増えてきたように思います。

かつては「子どもは地域で育てる」という雰囲気がありました。近所には、子どものことをきちんと叱ってくれる人がいて、親以外の複数の大人が子どもの教育に関与していたのです。しかし、今は核家族化に加え、そうした地域のコミュニケーションやしつけの機会が減り、親が子どもの教育を一手に引き受けなくてはならなくなりました。

つまり、子どもたちが大人から「叱られる」経験が減ったといってもよいでしょう。親が子どもを叱らなくなった、ともよく言われます。これは父親も同様です。
親が子どもの教育を一手に引き受けなければならないことへの不安が、その原因かもしれません。
 
■父親と母親の役割分担

子どもを保護する役割が「母性」だとすると、子どもを未知の世界へ押し出すのが「父性」であるとよく言われます。石原慎太郎東京都知事は「日本よ」というエッセイの中で次のようなことを言っています。

「動物行動学者ローレンツは、『幼い頃肉体的な苦痛を味わったことのないような子どもは、成長して必ず不幸な人間になる』といっているが、それは人間を含めた動物全体の生存に関わる原理であって、人間の親だけが子どもにそれを強いることを怠るということが許される訳がない。ある年齢に達した子どもを、親が強く叱るということは子どもにとっては心外だろうと実は、我慢について教える慈悲に近い本当の愛に他ならない」と。

さらに「賀川豊彦は、『子どもには大人から叱られる権利がある』と記している。キェルケゴールは、『子どもが受くべき、最初の感謝すべき教訓、それは両親よりの平手打ちだ』ともいっている。・・・・(中略)叱られるということは我慢を強いることであって、我慢を重ねることの出来ぬ子どもは心身ともに耐性を欠き、自分をコントロール出来ずに、すぐに切れたり崩れてしまう」

石原慎太郎さんの政治的信条は別にしても、子どもに対していとおしく思う心や、揺るぎ無い慈しみ、その愛情を背景とした「厳しく間違いを正す姿勢(教育)」は今の日本の社会にとって非常に大切ではないでしょうか。

今回のアンケートでは「お父さんとお子さまの関係について、次のようなことはあてはまりますか」(設問5)との問いに際し、
「子どもから頼りにされている」と感じている父親は「とてもそうだ」「まあそうだ」の合計で約90%。
ほとんどの父親は頼られているという実感を持っているようです。
しかし、「子どもに対して甘い」との認識も60%を超えています。
父親が子どもと接触する機会が以前より増えた分、父親と子どもとの距離はかつてよりは近づいていると思われます。かつてのように、「父親は怖い存在」というイメージではなくなっているのではないでしょうか。

「お父さんとお子さまの関係について、次のようなことはあてはまりますか。」(数値は%)


仲のよい親子関係を築くことは大事なことですが、仲がよいだけでは子どもは成長しません。場合によっては「家にお母さんが二人いる」という状態になってしまいます。ときには、父親として厳しく叱ることが必要です。また、未知の世界へ背中を押してやったり、ちょっと危険なことにチャレンジさせたり、といった新しい世界へ飛び出していく機会を作ってあげることも必要なのではないでしょうか。

せっかく父親と子どもとの距離が近づいているのですから、かつてのようにただ単に無口で「怖い存在」「厳格な父親像」に戻る必要はないでしょう。「父親が仕事で母親は専業主婦」以外の多様なスタイルが生まれている現在、父親、母親の役割も変化してきていると思います。そのため、「叱る」と「ほめる」のバランスをとりながら父親、母親的な役割の両方を家庭の中で行っていくことが求められます。一方の親が叱ったら一方は慰める、といったように、チームワークをとりながら子育てをしていく必要があるのではないでしょうか。

 
■父親と子どもの新しい関係

最近では、学校でも「父親」を巻き込んだ取り組みが増えてきています。父親自身による「お父さんの子育てサークル」をPTA活動などから地域へと広げネットワーク化していくことや、放課後「児童クラブ」における活動などの参加により、親子一緒に行動する機会や父親自身が楽しく交流できる場を工夫し、それらを通じて得た経験や人とのつながりを家庭教育に活かせるようにしていくことがねらいのようです。

たとえば、東京都足立区立弘道小学校では、「お父参会」という組織をつくっています。そこでは、サッカーやバレーボールを始め、将棋や絵画など、得意なものがあるお父さんたちが中心となって、土日に学校に来て子どもたちを指導します。子どもたちは、普段とは別の視点で自分の父親を見ることができるため、家族の中での親子のコミュニケーションが広がるのだということです。

家族での父と子の関係だけではなく、一歩進めて地域の活動の中にお父さんといっしょに子どもが参加するというこうした取り組みは、これからの父と子のコミュニケーションを変えていく可能性があるかもしれません。

 
■父の日ってなんだ

今回、「あなた自身の『父の日』にまつわる思い出、エピソードがあれば書いてください」との問いかけには、様々な回答を(特に現在母親の立場の方から)いただきました。

  • 「父は小さいころに亡くなったので・・・」

  • 「あまり幼いことはした記憶がなかった」

  • 「父の日の思い出らしきものはない」

  • 「母の日の半分くらいしか贈り物もしていない」


といったコメントもいくつか頂きました。
一方でこんなコメントもありました。


  • 「小さい頃は私の起きている時間に父親が帰宅したことはなく、無口な人でしたから心のつながりは感じられませんでした。結婚し主人から父親の良いところを教えられ、子どもが生まれて初めて父親の愛を感じることができました」

  • 「10代の反抗期の終わりごろだったか『パパ大好き』と書いてある小さなプラスティックのプレートをプレゼントしたら、長年ジャケットの内ポケットに入れていた。それに気がついた時、ほのぼのと幸せな気持ちになったことがあります」


様々な家庭の事情があり、家族の関係があります。
いまや、父親に求められる役割や、価値観も多様です。
しかし、父と子のコミュニケーションは子どもの時期だけで終わるものでもありません。
それぞれの成長過程があり、それぞれの価値観の変化もあります。
大切なことは、いつまでも「父性」の意味を大切にし、子どもに一人の人間として虚勢を張らず、繕わず、そして素直にさらに貪欲にコミュニケーションをしていくことなのかもしれません。その真剣味から、ほんとうの父と子、父の日の意味が生まれてくるのだと思います。
あなたはどう思われますか?ご感想をぜひ、お寄せください。

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