公立小中高から現役でハーバード大合格へと導いた廣津留真理さんに聞く!子どものタスク管理力やグリット(やり抜く力)が育つTO DOリスト活用法

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家庭教育のみで娘を育て、公立小中高から現役でハーバード大学合格に導いた廣津留真理さん。前回「子どもが自ら伸びていく環境のつくりかた」は、子どもが自ら伸びていく家庭教育の環境づくりについて実体験をもとに教えていただきました。

今回は、子どものタスク管理力を育てるための秘訣についてインタビュー。タスク管理力を磨くことで、マルチタスク力や、グリット(やり抜く力)やメタ認知力など幅広いスキルが養われるという廣津留さん。その養成には、TO DOリストの活用がポイントとなるようです。

この記事のポイント

TO DOリストを付ける習慣があったから、娘はハーバード大での学業と音楽を両立できた

娘は、幼少期からTO DOリストを付ける習慣がありました。母親の私が付けるのを間近で見ていたためか、気付けばまねしていましたね。TO DOリストを付けて、複数のタスクをやりきるという経験を幼少期から積み重ねたことの効果は想像以上。ハーバード大での多忙な学生生活と、ヴァイオリンとを両立できたのも、TO DOリストの習慣化で培われたスキルが支えてくれたと思っています。

TO DOリストを作る目的をまちがえないで

保護者のかたの中にも、TO DOリストを付ける習慣のあるかたや、お子さまに付けさせているかたもいらっしゃるでしょう。「作っているけれど、うまくいかない」とお悩みのかたもいるかもしれません。その場合は、TO DOリストを作る目的がまちがっている可能性大!

よく勘違いしがちなのですが、TO DOリストは、ノルマをこなすためのものではありません。自由な時間をつくるためのものです。自由時間を思いきり楽しむために、限られた時間を有効に使ってタスクを終わらせる。この関係性が逆になっていませんか? それでは、子どももワクワクしませんよ。ワクワクしなかったらやりません。

また、TO DOリストには、優先順位を付けたり、不要なことはやらない断捨離力を身に付けるという目的もあります。やるべきことを洗い出すだけで終わっていませんか? それだとせっかく見える化しても、タスクの多さにげんなりしてしまう結果になることも。必要ないことはやらなくてもいいんです。
小学生くらいまでは、保護者が「この中で、もし緊急事態になったらやらなくてもいいって思うものは何?」と、優先順位付けや断捨離のフォローをしてあげるのもおすすめです。

子どもの実力プラス1がベスト! TO DOリストの作成法

TO DOリストは、前日に翌日分をリストアップするのがおすすめです。「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ。あ、そうだ。あれも……」とモヤモヤしながらベッドに入るのは嫌じゃないですか(笑)。とりあえず、リストアップして見える化しておけば意外と苦しくないんです。私は自分自身のTO DOリスト作成では「書いたら半分終わったことにする」というマイルールにしています(笑)。

娘は、やることを一つひとつ付箋に書いて壁に貼って、終わったら容赦なく剥がしていました。やるべきことと、優先順位。完了具合がわかれば、このやり方でなくてもOKです。リストアップするのは、ホワイトボードでも紙でもノートでも構いません。終わったらチェックマークを付ける、取り消し線を引く、消すなど、お子さまに合った最も達成感を味わいやすい方法で作成してみてください。

ゴールから逆算してTO DOリストに落とし込んでいくのもよい方法です。1か月で40ページの問題集をやりきるなら、1週間あたり10ページ、2日に1回取り組むとして1回あたり3ページが目安……といった具合に、ブレークダウンしていきましょう。逆算思考が習慣化すれば、中長期的な目標やタスクの管理もスムーズにできるようになりますよ。

TO DOリスト作成のポイント

TO DOリストは、子どもの実力プラス1で設定するのがおすすめです。簡単すぎてはタスク管理力をUPさせていくことはできません。だからといって、無理な設定も禁物。少しがんばれば達成できるものであるというさじ加減がポイントです。

日々、実力プラス1をやりきる。それを積み重ねると、いざという時にプラス10を発揮できる底力が付きます。テスト勉強や受験勉強の追い込みの際など、踏ん張り時を支えてくれるようになるはずです。

TO DOリストで磨かれる4つの力

TO DOリストで得られる効果は、タスク管理力だけにとどまりません。時間管理力、マルチタスク力、メタ認知力、グリット(やり抜く力)など、勉強はもちろん、社会で活躍するために必要なさまざまな素養も磨かれます。

TO DOリストでやることが《見える化》すると、結果も《見える化》する。達成感が成功体験となり、習慣付けができる。習慣付けができると、継続効果で次のような力が付いていくというわけです。

時間管理力

時間管理力があれば、限られた時間を有効に使ってタスクをやりきれるだけでなく、心の余裕を持つことや、余暇を楽しみ人生を豊かにすることにもつながります。

マルチタスク力

TO DOリストを付けても、最初はうまくいかないこともあるものです。しかし、時に失敗しながらも続けていくことで、脳内が整理され、優先度の高いものを見極める視点や、優先順位の付け方を体験で学ぶことでつかんでいけます。

どんなに複数のタスクが立て込んでいようとも、何からすべきか、どの順ですべきかを瞬時に構築できるマルチタスク力は、変化のスピードの速いグローバル社会でも必須のスキルです。

メタ認知力

TO DOリストで見える化することは、自分を客観的に俯瞰(ふかん)して見る「メタ認知力」も育てます。優先順位や不要なタスクを考えることは、タスクそのものにとらわれるのではなく、一段高い視座になって整理するということ。メタ認知力があれば、感情に左右されずに冷静な判断や行動をとることができます。

グリット(やり抜く力)

グリット(やり抜く力)を養うには、タスクを積み重ねる地道な努力が必要です。「何かを続ける」経験によってしか、グリットを身に付けることはできません。その点、TO DOリストを付けることは「何かを続ける」ことに他ならないもの。TO DOリストを付けることが歯磨きと同じくらい習慣化すれば「やり抜くぞ」と意気込まなくても、歯磨きと同じくらい自然にやりきることとなるはずです。

TO DOリストの効果は、想像以上に広がりのあるものです。私自身も、娘が生まれる前から今までずっと付け続けています。
保護者の中には、お子さまにTO DOリストを付けさせていても、なかなか思うように運用できないとお悩みのかたもいらっしゃるかもしれません。そんな時は「今は踊り場の時期。これまでの取り組みをくり返してレビューしている期間」とおおらかにとらえてみることも大切。子どもの力は、少しずつ伸びるのではなく、できる時は急にできるようになるものです。そんなとらえ方をするのも、親の子どもへのメタ認知ですよ。

まとめ & 実践 TIPS

タスク管理力やマルチタスク力からメタ認知力まで、これからの社会で重要性が増すスキルがTO DOリストを付けることで養われていくことに驚きを覚えるかたもいらっしゃったのではないでしょうか。廣津留さんは、TO DOリストの有効性についてふれながらも、くり返し「TO DOリストを付けさせなければとノルマ化するのは違います」と強調。

インタビューの最後には「子どものためにこうあらねばならない。これをさせねばならない……ではなく、瞬間瞬間を楽しむことを忘れないで」とアドバイスされていました。気負いすぎず、親も子も楽しみながら実践していけるといいですね。

プロフィール

廣津留 真理(ひろつる まり)

ディリーゴ英語教室代表/一般社団法人Summer in JAPAN(SIJ)代表理事/株式会社ディリーゴ代表取締役。早稲田大学卒業。英語教室やセミナーにて、これまで1万人を指導。オンライン英語教室は講師も生徒も日本全国、世界から。たった週1回75分のレッスン1年で、英語学習経験ゼロの小学生が英検®3〜2級に合格する例が続出。著書に『英語ぐんぐんニャードリル ひろつるメソッド 最短最速! ゼロから一気に中2終了』(講談社)などがある。
オンライン英検対策-廣津留真理のディリーゴ英語教室

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