試合や練習の日のおすすめメニュー、スポーツを頑張る子に食べさせたい食事とは

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2021年はオリンピックもあり、世界で活躍するアスリートを目にする機会も増えました。「あんな風になりたい!」と、スポーツを頑張るお子さまも増加中。毎日の食事は、日々の練習や試合の資本となる体づくりに欠かせません。

今回は、子どもの食生活の中でも特にスポーツを頑張る「キッズアスリート」たちに食べさせたい食事について、料理家であり、アスリートフードマイスターの資格をお持ちの黄川田としえさんに伺います。
「“totto(トット)”さん」の愛称でも親しまれる黄川田さんは、元サッカー選手である夫の食事を7年間サポート。現在は、世界で活躍するテニスプレイヤーを目指す中学生の娘さんを食事面でも支えながら、子育てに奮闘中。実感に基づいた、キッズアスリートの食生活も提案されています。
さて、毎日の食事についてどのような工夫や心がけをしていけばよいのでしょうか?

この記事のポイント

キッズアスリートは「タンパク質」を意識的に摂ろう

——まず一般的なお子さまより体を動かしているキッズアスリートは、三食全てを「しっかり」摂ることが重要です。ただ、子どもは大人と比べて消化機能が未熟で、しっかりと一言でいっても摂取する量はお子さまによりまちまち。競技の強度によっても必要な食事は違うので、意識して食べても補えていない場合があります。
ですから、キッズアスリートは3食+αの「補食」でサポートしていく必要があります。

その上で「タンパク質」を意識的に摂りましょう。タンパク質は、筋肉を始めとする体づくりに欠かせません。日々、練習に励むキッズアスリートの必須栄養素ですが、案外足りていないことが多い栄養素でもあります。一般的に、体重1kgあたり1gのタンパク質が必要といわれており、キッズアスリートの場合はその1.2倍と、少し多め。
タンパク質1gといっても、100gのお肉に100g含まれているわけではありません。また、豚肉ひとつとっても、モモ肉とバラ肉では含まれる量も違うので、スマホなどで調べるとよいでしょう。
たとえば卵は、1個あたり約50gで、含まれるタンパク質は約6g。ですから、体重50kgのお子さまの場合、卵だけで換算すると1日10個食べる必要があります
でも実際は、卵ばかりたくさんは食べられませんよね。朝ごはんなら、目玉焼きに、豆腐のお味噌汁、ごはんにシラスをのせて、おかずにソーセージもプラスするなど。偏らないよう、お肉だけでなく、使いやすい卵に豆腐や高野豆腐などの大豆製品を組み合わせるなど、子どもの好きなバリエーションをいくつか見つけておくと便利です。

キッズアスリートの鉄板メニューは「のっけ丼」と「のっけ麺」

——しっかり食べなければいけない一方で、練習や試合の移動などで、食事時間が限られることも多いですよね。そこで、出発前や移動中の車などで、サッと食べられる「のっけ丼」と「のっけ麺」は、強い味方です。
うちの娘はもともと食が細く、食べるのもあまり速いほうではありません。そこで、丼や麺類に、お肉や卵、チーズ、野菜などをのせたメニューをつくるようになりました。ひと品なので、結果的につくる自分もラクができるというメリットも(笑)。

常備している食材は、ごはん、ペンネ、豚の赤身肉、シラス、ツナ、卵、チーズ、小松菜やほうれん草など。これらを組み合わせて、よくつくるのは、前回もご紹介した「3色丼」です。

こちらは、ごはんに海苔と鰹節をのせ、焼いた鮭をほぐしたもの、ネギ入りの炒り卵、キュウリ、醤油麹、仕上げに白ごまを散らしました。整腸作用のある発酵食品も積極的に取り入れるようにしています。

また、テニスをするようになってからは「豚丼」に小松菜の組み合わせも頻繁につくります。ビタミンBを含む豚肉とごはんの組み合わせは、上質なエネルギー源になります。豚肉なら、薄切りのしゃぶしゃぶ用のもも肉が使いやすく、柔らかくて食べやすいですよ。もも肉のパサつきが気になる場合は、赤身も脂身もバランスのよい肩ロースがおすすめです。

ごはんに豚もも肉の生姜焼き、千切りにすりおろした長芋に出汁醤油を混ぜ合わせたものをのせた「豚丼」。栄養もそうですが、食べやすさも増します。

茹でたペンネを洗って、オリーブオイルと塩、塩豚を茹でたものを刻み、青じそとナッツで作ったペーストであえた一品は、お弁当箱に詰めれば、練習や試合前の補食にもなります。フォークでパクパク食べられるのも、ペンネのよいところ。

冷たいうどんに、豚肉のしゃぶしゃぶ、さっと茹でた小松菜かほうれん草、錦糸卵や茹で卵をのせて、食べる前におだしをかける「冷やしうどん弁当」。ごはんに、割いた茹で鶏、炒り卵、塩もみキュウリ、刻んだオクラ、青じそ、そこに塩で味付けた和風だしか鶏ガラスープを注ぎ、香り付けにごま油を少したらした「冷やしだし茶漬け」も補食や練習前のお昼ごはんにおすすめです。疲れて食欲がわかない時も、ツルツルッサラサラッと食べられます。

試合前日は、十分な睡眠がとれる食事を

——アスリートは睡眠も重要。とくに試合前日は、十分な睡眠がとれるようにしたいですね。そのためにも「食べる時間」と「食事内容」を意識します。
食べる時間は、寝る2〜3時間前までに。食事内容は、いつものおうちのごはんでOKですが、子どもが食べやすいメニューだとサッとおいしく食べられて、入眠までがスムーズ。また、揚げ物は消化に負担がかかり、体も疲れやすく、朝ごはんがしっかり食べられなくなってしまいます。消化のよい食材やメニューにするとよいでしょう。お肉なら鶏肉ごはんは玄米より白米メニューは、食べやすい親子丼や雑炊、あんかけごはんが、わが家の常連です。

こちらは、おだしに、蟹の缶詰、キクラゲ、ネギ、卵を入れて、塩とお醤油で味を整え、水溶き片栗粉で少しとろみをつけた「蟹あんかけごはん」。練習後の疲れた時や、試合前によく食べます。

試合当日のスケジュールと食事例

——競技や年齢、お子さまの体質などで食べる内容はそれぞれですが、みんな成長期であることは同じ。以下に、わが家の娘を例に、試合当日のスケジュールと食事をご紹介します。

●朝ごはん

試合の3時間前までに、いつものメニューをしっかり食べる。わが家は、毎回ほぼ一緒の「3色丼」。ごはんに海苔、甘しょっぱく炒めた豚もも肉、炒り卵、キュウリ(もしくは茹でた小松菜)、シラス。この日は、鉄分が豊富なビーツのスープも添えていますが、野菜のお味噌汁の場合も多いです。

●試合前の捕食

試合の30分〜1時間くらい前に、エネルギー補給。たとえば、バナナ、お団子、大福、カステラなど、すぐにエネルギーになるようなものを、満腹にならない量で食べます。特におにぎりは常連。

こちらは、炊きたてのごはんに乾燥小エビ、刻んだたくあん、青じそを混ぜ込んだもの。味のついたごはんはパクッと食べやすいようです。

●試合中

試合中は、水分を十分に摂ります。娘は、水で薄めた梅シロップを飲んでいた時期もありますが、夏場には、塩分と糖分がバランスよく配合されているOS-1やスポーツドリンクを選びます。やはり怖いのは、熱中症や、体がつること。「喉が渇いた」と感じたら、既に体内は水分不足。ケガのリスクを下げるためにも意識的に摂らせましょう。

●試合後の補食

試合後30分以内に、炭水化物とタンパク質で、体を修復する栄養素を補給します。おすすめはおにぎり。具材は、定番の焼き鮭やシラスでもよいですし、ウインナー、チーズ、炒り卵などを入れてバリエーションを出しても。

写真は、刻んだ油揚げと小松菜を炒め、醤油とみりんで味付けしたものを炊きたてのごはんに混ぜ込みました。お揚げのタンパク質をプラスし、味付けも子ども好みにして、疲れていても食べやすいように。

●試合後の晩ごはん

帰宅後は、おうちでいつもの晩ごはんを食べます。スポーツで筋肉をたくさん使うことで鉄分が失われています。メニューは、バランスを考えつつ、赤身肉やラム肉、大豆類などの豆製品、ほうれん草、貝類などを意識的に摂取。

たとえば、こんなふう。ラム肉の赤身のソテー、ケールのソテー、新玉ねぎをじっくり焼いたもの、レタスのサラダ、人参のピラフ。生の野菜も含みつつ、焼き野菜など野菜を多めに取り入れます。
ちなみに、家族の食事を別につくることはしません。キッズアスリートの娘の食事はバランスがよいので、私たちは少なめにするなど量だけ調整。同じ食事を楽しみます。

まとめ & 実践 TIPS

「強くなりたい!」と頑張るお子さまたちが、ケガなく、毎日練習に励めるように。摂る内容やタイミングなど、ポイントはいくつかありますが、日々の食事から実践できることはたくさんあります。よく食べ、よく眠るを基本に、その明るい未来を応援しましょう。

プロフィール

黄川田としえ

黄川田としえ

料理家・フードスタイリスト・食育インストラクター
子どもと一緒につくる料理教室やワークショップなどを開催する「tottorante」主宰。元プロサッカー選手の夫と大学生の息子、中学生の娘の母で、アスリートフードに関する資格も取得。著書は『毎日のごはんと心地よい暮らし』(宝島社)、『ホットプレートひとつでごちそうごはんができちゃった100』(主婦の友社)ほか。テレビや雑誌、広告などで活躍する。Instagram @tottokikawada

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