休園・休校が続いた子どもたちの体力低下、大丈夫? ベネッセ教育総合研究所が子どもの生活・学びの困りごとに応えるシリーズ(6)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による約3カ月の休園・休校、そして、外出自粛の呼びかけにより、家で長い時間を過ごした子どもたちも多かったと思います。子どもたちの体力は、大丈夫なのでしょうか。
ベネッセ教育総合研究所が運営するインターネット上の「子ども学」の研究所『チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)』では、支援してくださっている専門家の方々に、健康・生活・学びをテーマに、正しい知識や対処法をうかがっていきます。
6回にわたり、医学博士であり、CRN所長とベネッセ教育総合研究所常任顧問でもある榊原先生による健康面に関するお話をお届けしていきます。

●日常に戻れば体力も戻る

小児科の立場から申し上げますと、数カ月~半年の間であれば、18歳以下の子どもたちの運動不足は、じつはあまり気にする必要はありません。というのも、さまざまな調査で「子どもの体力は生活環境によって変わる」ということがわかっていて、例えばオリンピックが開催される年になると、子どもたちも一生懸命に走りますから、持久走の成績がよくなる傾向がある。一方、オリンピックが終わるとそれほど走らなくなって、運動量が低下傾向に転じるくらいなのです。

また環境面でも、車社会である郊外に住む子どものほうが、都心の子どもよりも歩く距離が短いとも言われていますが、これも環境を変えればすぐに変わること。もちろん散歩をしたり、ジョギングしたり、家のなかで体操したりといったことを、楽しくできるのでしたらそれに越したことはありませんが、やらなくても心配は要りません。むしろ、運動量が減り、体力が落ちたり太ったりすることを心配するあまり、お子さんを無理に外に出したり、運動を強制したりすることのほうが、メンタルヘルスの面ではよろしくないというわけなのです。

●今は“だらだら”も大目に見て

さらには、ご自宅でわが子がだらだらしている様子を見ると、つい小言も言いたくなってしまうものですが…。子どもにとっては、外に出られないだけでストレスなのに、そのうえ小言まで言われるとなると、ストレスが2倍になってしまいます。ですから、ここはどうかちょっと大目に見てあげて欲しいと思います。また学校や園が始まれば、体力はきっと元に戻りますからね。

上記記事はベネッセ教育総合研究所が運営するチャイルド・リサーチ・ネット(CRN)に掲載した動画をもとに作成したものです。
チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)は「子どもは未来である」という理念を掲げ学際的、国際的な活動を推進する、インターネット上の「子ども学」研究所です。ベネッセ教育総合研究所の支援のもと運営されています。

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チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)は「子どもは未来である」という理念を掲げ学際的、国際的な活動を推進する、インターネット上の「子ども学」研究所です。
ベネッセ教育総合研究所の支援のもと運営されています。

プロフィール


榊原洋一

著書:「オムツをしたサル」(講談社)、「集中できない子どもたち」(小学館)、「多動性障害児」(講談社+α新書)など。


医学博士。CRN所長。お茶の水女子大学名誉教授。ベネッセ教育総合研究所常任顧問。日本子ども学会理事長。専門は小児神経学、発達神経学特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。趣味は登山、音楽鑑賞、二男一女の父。

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