子どもの行動に「キィーッ」となる前に 親が変われば、親子のコミュニケーションは楽になる!?
散らかり放題の子ども部屋を目の前に、「キィーッ」となった経験がある保護者は多いのではないだろうか。高1の長男を持つSさんもその一人。しかし、<あること>をしてみたら、子どもとのコミュニケーションが格段に楽になったという。コーチングのプロ、石川尚子氏に伺った。
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ある日、Sさんが、高校1年生の長男の部屋をのぞくと、ベッドの上にたくさんの洋服が広げられていました。「あれ? どうしてこんなに出しているんだろう?」。ちょっと不思議に思ったそうです。今までだったら、「もう! 何やっているの? 出しっぱなしにしないで早く片付けなさい!」と、キィーッ!となって叫んでいたそうですが、この時は、「あれ? どうしたんだろう?」と思って質問してみました。「洋服がたくさん出してあるけど、どうしたの? 何かあったの?」。お子さまから返ってきた答えは、Sさんがまったく想像していなかったものでした。
子:「ベッドの上に置いているだけ」
母:「だよね。ベッドで寝られないぐらい置いてあるね」
子:「だから、そういうこと。勉強していて眠くなって、そこにベッドがあったら、すぐ寝てしまう。だから、勉強中は寝られないようにしてある」
母:「へぇー! なるほどねー!」
「子どもは、自分なりに考えて、自己管理して、勉強に取り組んでいるんだなあと思いました。試験期間が終わったら、言わなくてもちゃんと元通りに片付けていましたよ。今までの私は、『散らかしている』と思ったら、もうそれだけで、キィーッ!となって、口うるさく言ってしまって、かえって、子どものやる気を奪っていたんだなと思いました。勝手に決めつけて怒鳴って、お互いに嫌な気分になっていました。」と話してくれたSさんの爽やかな笑顔に、こちらもとても温かい気持ちになりました。
たしかに、子どもは子どもなりの考えや意図があって、やっていることもあるでしょう。その想いをくんでもらえず、表面的に見えていることだけを注意されると、たちまちやる気は失われてしまいます。「もう! 何をやっているの?」と思う時も、まず、「どうしたの?」「どうしようと思っているの?」と意図を聴いてみると、案外、こちらが思ってもみなかった答えが引き出され、落ち着いて話せるかもしれません。
出典:もっと楽になる!?子どもとのコミュニケーション -ベネッセ教育情報サイト