「いのちと死」を正しく理解させ、自分を大切にする子どもを育てる

「いのちと死」を正しく理解させ、自分を大切にする子どもを育てる子どもの「いのちと死」への疑問や不安に、保護者はどう応えていけばよいのだろうか。小中学生を中心とした「いのちの教育」の研究者で、スクールカウンセラーとしても活動している山陽学園大学の近藤卓氏が、基本的自尊感情を高め「いのちの大切さ」がわかる子どもへとつながるのかのヒントを紹介してくれた。

 

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「自分は生きていていい」「みんなから大事にされている」と感じている子どもは、自分を大切に思う気持ち(基本的自尊感情)に確信があり、自然と他者のいのちも大切だと思えます。一方、「いのちの大切さ」がわからない子どもは、他人と比べた結果を評価されることが多いようです。このように、自分が努力した過程を認めてもらえない子どもは、基本的自尊感情が低いまま育つ傾向があります。自尊感情には「基本的」と「社会的」の二つがあり、「自分や他者のいのちを大切に思う気持ち」を育むことができるのは、基本的自尊感情のほうです。また、「悲しいのは自分だけではない」といった気持ちを子どもと共有するには、同じ方向を親子で見る「並ぶ」関係がポイントとなるので、ぜひ覚えておきましょう。

 

子どもが、「どうして人を殺してはいけないの?」「死ねばいいのに」といったきつい言葉を発した時は、「理屈じゃない、ダメなものはダメ!」「死ぬという言葉は大嫌い!」と、自分の気持ちをはっきり伝えましょう。ふざけて言ったとしても、こういうことは許されないことをはっきりさせるべきです。

 

子どもが本当の意味での生や死を意識する「いのちの体験」をしている時には、共に悲しみ、共に支えあう大人がそばにいることが大切です。そうすれば子どもは自分が大切にされていることを実感し、基本的自尊感情を持つことができるのです。同様に、事故など生死にまつわるショッキングな映像を一緒に見たときは、話題を避けず「かわいそうだね、気の毒だね」と子どもに伝え、ぎゅっと抱きしめてあげましょう。同じ思いを共有することで、子どもは「悲しいのは自分一人じゃない」と安心できます。まだ幼い場合は、「死んだらお星さまになるんだよ」といった「物語」も忘れずにしてあげましょう。

 

出典:いつ、どう伝える? いのちと死【後編】「いのちの大切さ」がわかる子どもとは? -ベネッセ教育情報サイト

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