家族での海外転勤 内向き志向だった娘に起きた変化とは?
夫の急な転勤のため、長女を含めた家族3人でロンドンに転居した沓澤糸氏。1年間のロンドン生活を終えた沓澤氏に、悩んだ末に決めた家族での海外赴任で得たものを語ってもらった。
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中学3年生の春に転勤が決まった直後は、「一人でも日本に残りたい!」と言っていた娘。帰国して3か月後に聞いてみたところ、「行く前は英語ができないから不安だったけれど、身振り手振りでも何とかやっていけると思えるようになった。普通では経験できない、とてもいい機会だった」と話してくれました。
ロンドン行きを決めるまでの娘、直前になってやはり日本を離れたくないと泣いた娘。「超・内向き志向」だった姿を思い出すにつけ、実際に見て、聞いて、触れた経験が10代の娘に与えた影響はすばらしいと感じます。また、夫も「家族で暮らせたことで精神的にも体力的にも助けられた」と振り返ります。
家族での赴任を決めるまでにいちばん迷ったのは、「こんなに嫌がっている娘を連れて行くことに意味があるのだろうか」「夫は単身赴任でも大丈夫なのでは」という2点。そして、私自身、約25年間続けてきた仕事を辞めたことを後悔するのでは、と不安もありました。
しかし、今は家族一緒に行ってよかったと思います。もちろん、これは我が家の場合であり、それぞれの家庭の事情によって選択肢も異なるし、そこから選び出す答えも違って当然です。
どのような結論を出すにしろ、家族一人ひとりが納得するまで話し合って決めることが大切です。決めるということは選択するということ。ほかの選択肢を捨てることに納得できないと、新生活を楽しめないのではないかと思います。
私は仕事を辞めましたが、家族で過ごす時間、好奇心を刺激される時間をくれた今回の選択に悔いはありません。家族で決めて納得していたからこそ、気持ちを切り替えて、ロンドンでの生活を充実させることができたのだと思います。