子どものストレスをペットが支えてくれる 「動物介在教育」とは

子どものストレスをペットが支えてくれる 「動物介在教育」とは欧米では、教師のペット(主に犬)を教室に連れ込み、子どもたちによい影響を与える「動物介在教育」が盛んだ。日本では、まだ普及していない動物介在教育について、麻布大学の太田光明先生に伺った。

 

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オーストラリアの小学校では、教室に1頭の犬を「仲間」として迎えたところ、生徒たちが先生の顔を見ている時間が増え、授業に集中するようになったそうです。さらには攻撃的な行動が減り、クラスの和が深まりました。これを科学的に分析することはできませんが、犬が子どもたちに「よい刺激、よい影響」を与える存在になる可能性を示唆していると考えられます。

 

このように、教育の現場に動物のチカラを活用することを「動物介在教育(Animal Assisted Education)」と呼びます。動物介在教育は、欧米を中心に多くの学校で導入されており、私が視察したドイツ・オーストリア・スイスでは、教師が当たり前のように、自分の飼っている犬を教室に連れてきていました。日本は文部科学省が「心の教育」を重視し、自然体験活動が注目されているにも関わらず、残念ながら動物介在教育が浸透していません。先生が忙しすぎて、動物介在教育に取り組めないこと、動物介在教育自体を知らないことが大きな要因のようです。

 

家庭で飼っているペットも子どもに影響を与えます。アメリカの研究者の調査では、「ペットは<特別な友達>であり、<ペットと親密な会話>をしている」と報告されています。ドイツの調査では、9~10歳の男児・女児のうち79%が「悲しいときペットと一緒にいる」ことを好み、69%が「ペットと親密に分かち合っている」としています。

 

これらのことから、子どもが何かしらのストレスを感じたとき、その子を支える役割をペットが担っていることがわかります。ほかにもイギリスの研究では、ペットを飼っている家庭の子どもは、飼っていない子どもに比べて、学校に出席する日数が年に3週間多いという報告もあります。

 

出典:ペットが教えてくれること【前編】普及が望まれる「動物介在教育」 -ベネッセ教育情報サイト

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