ロンドン移住の家族 1年で見えてきた高校生の娘の変化とは?
家族でロンドンに移住した沓澤 糸氏。中学校を卒業したばかりだった沓澤氏の長女は、現地で高校に通っている。長女の英語との格闘の日々やロンドンでの子育てについて、語っていただいた。
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ロンドンに住み始めて1年がたちました。片道1時間半の電車・バス通学にもすっかり慣れた娘。高校生くらいの年齢なら、あっという間に「英語ペラペラ」になり、素晴らしい発音をするようになる……とお考えになるかたもいるかもしれませんが、驚くような英語力の伸びは残念ながら今のところありません。というのも、娘の通学する学校は日本人向けの高校のため、英語を使う機会や英語の授業時間は日本の学校よりは多いものの、基本的には日本語での授業、生活を送っているからです。
とはいえ、この1年間で娘が変わった、と感じる点はいくつかあります。
1点目は積極性。小さいころから目立つことを嫌がるところがありましたが、こちらで生活を始めて数か月たったころ、学校のお友達と2人で学年誌を作る企画をしていると教えてくれました。以前の娘なら尻込みしていたかもしれません。通学途中にある売店のおじさんとなじみになったり、近所の教会の合唱団への入団を考えたり……と、英語はあまり上達していないかもしれませんが、英語という壁を越えてロンドンに住む人々とのかかわりと楽しんでいるようです。
もうひとつの変化は、芸術に興味を持ち始めたことです。こちらには本当にたくさんの美術館や博物館があり、その多くは入場無料。娘はナショナル・ギャラリーという美術館で多くのすばらしい絵画を観て、本物の芸術の迫力や素晴らしさに感動していました。
感受性豊かな子どもの時期にこそ、こういう環境は大切だと改めて感じています。
生活する中で娘自身が感じたことや経験したことは、娘の人生の糧となり「らしさ」を作る一つの要素となると思いますし、それを生かして生きていってほしいと思っています。