「むかつくからこっちに来ないで!」 いじめる側になった我が子への荒療治とは
自分の子どもが「次にあの子がきたら無視しよう!」と、楽しそうに言うのを聞いて大ショック! という経験をした保護者がいるという。しかし、そのことに対して子どもに説教をしても聞き入れてもらえず、悩みは深まるばかり。どんな言葉なら伝わるのか。国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチの石川尚子氏に伺った。
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Aさんは、ある時、自分の子どもがいじめる側にいることを知って、とてもショックを受け、「いじめはいけないことだ」と伝える方法を考えました。そこで、Aさんが選んだのは、我が子がしたことを、我が子にもやってみるというものでした。
たとえば、しばらく無視をする、「あなたがいると、むかつくからこっちに来ないで!」などと言う。お子さんは、当然、びっくりします。お子さんがその体験を味わってから、Aさんは、誠意をこめて質問しました。
「今、どんな気持ち?」「これがずーっと続くとどう思う?」「どうしてほしい?」
お子さんに考えてみるよう促し、そのあとでこう伝えました。
「さっきは無視してごめんね。でも、かしこいあなたなら、きっと自分で気付いてくれると思ったから。無視されることがどんなに嫌なことか、わかったよね」
これはなかなかの荒療治ですが、親子の信頼関係のためか、効果はテキメンだったそうです。
Aさんは、「やめなさい」「あなたが悪いでしょ」と言わずに、自分の気持ちを伝えるようになったといいます。
「あなたが、人を傷つけるようなことをするなんて、お母さんはとても悲しい」「あなたには、人の気持ちがわかるやさしい子でいてほしい」「あなたならきっと理解できると信じているよ」
子どもの人格は決して否定することなく、「大切な存在」として認めますが、やっている行動は「悲しいこと」と伝えます。さらに、「あなたを信じている」というメッセージが伝わると、子どもは自ずと自分の行動について省みるのではないでしょうか。