大学教授が教える、家庭でできる年齢別コミュニケーション力向上法
新年度になると、「新しい友達とうまくやっていけるかな」など、子どものコミュニケーション力に高い関心を持つ保護者も多いだろう。東京学芸大学 教授の松井智子氏に、コミュニケーション力を伸ばす方法について話を伺った。
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コミュニケーションに必要なのは「言葉を使ったり理解したりする能力」と「心を理解する能力」。この能力は、人間の脳に生まれながらに組み込まれています。コミュニケーション力の伸び方は、成長する過程で「どのような会話をどのくらいしたか」が大きく影響します。子どもの発達に応じて、保護者のかたができることを紹介します。
●1歳半~3歳ごろ
最近の研究では、1歳半ごろには既に、他者の気持ちを推測しようとする力が備わっていることが解明されています。言葉や知識を吸収する時期なので、絵本なども活用しながら、いろいろな話をしてあげてください。
●4歳~7歳ごろ
相手の心を理解する力が発達し、それを言葉で説明できるようになってきます。会話も成立し始めますが、「質問されたら答える」という社会的なルールはまだ身に付いていません。子どもの好きなことを話題にしたり、頭の中で状況を思い浮かべられるような具体的な質問をしたりすると、話が盛り上がります。一緒に体験したことを話題にするのもおすすめです。
●8歳~12歳ごろ
複雑な内容を理解できるほか、言葉の裏にある意図もわかるようになります。「友達とうまくいかない」などの悩みを持ち始めるのもこの時期です。子どもはさまざまな経験を積んでコミュニケーション力を育んでいきますから、解決方法を一緒に考えたり、保護者の経験を教えてあげたりするとよいですね。
子どもは、「聞いてもらえるとうれしい」という体験をすると、話すモチベーションが高まります。時間は少なくても、一言ひとことを丁寧に受け止めて、「聞かせてくれてありがとう」と気持ちを伝えたり、「お話上手だね」とほめてあげたりすることが、話す意欲につながります。