人見知りも「場数」でたくましく! ゼミを通じて学生の自主性を育む
大学や学部をどのように選び、何を学べば将来に生かせるのか。そのヒントを求めてさまざまな大学の研究室を訪ねるシリーズ。今回は「地域安全マップ」の考案者として知られる、立正大学の小宮信夫教授の研究室に伺い、大学時代に成長するために必要なことや、これからの時代に求められる大学選びの基準などについてお話を聞いた。
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学生の中には、人前でまったく話せないような人も少なくありません。しかし、そんな学生でも卒業するころには別人のように堂々と話せるようになります。それは、「場数」を踏むからです。ゼミでは、子どもたちや街の人々と一緒に行動する地域安全マップづくりの実習が、年に10~30回あります。それだけの場数を踏むうちに、人前で話すことに慣れ、心に余裕と自信が生まれてくるのです。
また、卒論では必ずインタビュー調査を入れ、人選からアポとり、取材などのすべてを自分一人で行わせます。何人にも断られ泣き言を言いながら、それでもあきらめずにトライしてようやくインタビューを実現させます。それも、自主性を育む経験になります。
大学とは学生に知識を与える場ではなく、学生がもともと持っている潜在的な力を引き出す場だと思います。教員はそのためのコーディネーターのようなものです。マップづくりは、犯罪社会学について学ぶために適しているのはもちろん、学生の力を引き出すために最適な場だと考えています。
一般に、大学は閉じられた場ですから、なかなかそういう機会は設けられません。しかし、積極的に大学の外に出て活動をしている教員ならば、学生にそういう機会を提供することができます。社会で生きていくために必要な力を大学で養いたいならば、教員の研究の中身だけでなく、教員がいかに社会とつながっているか(どのくらい社会的な活動をしているか)も、大学選びのひとつの基準になるのではないでしょうか。