知識より思考力を重視する公立中高一貫校入試 「魔方陣」出題も
一口に中学入試と言っても、公立の中高一貫校と、私立の中高一貫校では、その問題の傾向が異なる。どちらかというと「知識」が求められることの多い私立の中学入試に対して、公立中高一貫校では「思考力」が求められるという。公立中高一貫校での入試傾向について、平山入試研究所の小泉浩明氏が解説する。
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「題材を与えてその場で考えさせる」というのが公立中高一貫校の目指す入試問題です。そこでは、《知識の量》よりも《考える力》を求めます。たとえば2012年の適正検査IIでは、日本の年齢別人口構成の表を与えてその割合を百分率で求めさせ、そのグラフを作らせました。そして、さらにそのグラフの特徴を答えさせる問題が出題されました。これらの問題に答えるためには、割合の計算や表の読み方などの基本的な知識のほかに、グラフを作るという「手作業」やそのグラフの特徴を読み取るという「思考力」が必要です。私立中学入試でも「知識」「手作業」「思考力」が必要ですが、公立中高一貫校のほうが「知識」よりも「手作業」や「思考力」が重視される試験であると言えます。
さて、このように「知識」をあまり必要としない試験となると、出題される問題の種類はかなり限られてきます。たとえば適正検査IIIでは、算数分野の平面図形や立体図形に関わる問題が頻出です。2007年の「魔方陣」(正方形の方陣に数字を配置し、縦・横・斜めのいずれの列についても、その列の数字の合計が同じになるもの)などが良い例でしょう。
まず、図を示して、魔方陣とはどんなものなのかをその場で説明します。次に、魔方陣の基本的な性質を解明させます。そして、さらに複雑なものを出題して受験生の思考力を試すことになるのです。
なぜ、魔方陣のような問題が出題されるのでしょうか。それは、このような問題であれば、魔方陣というものを知らない生徒でも、その内容を試験場で簡単に説明できるからです。つまり、そのものに対する知識があってもなくても、公平に思考力を試せる問題が公立中高一貫校にとっては良い問題と言えるのです。