読書感想文 どんな本が書きやすい? 失敗しない本選び

おもしろい本に出合うと、誰かに紹介したり、自分の感想を伝えたりしたくなるものです。それを文章によって行うのが読書感想文と言えます。ですから、「紹介したい」「感想を伝えたい」と思えるような本に出合うことが、読書感想文の第一歩となります。国語専科教室を主宰する工藤順一先生に読書感想文における本選びのポイントを聞きました。


迷ったら、「名作」を選ぼう

 読書好きの子どもでしたら、自分の好みの本をわかっていますから任せてもよいのですが、普段、読み慣れていない子どもが自力でおもしろいと思える一冊を探すのは難しいかもしれません。課題図書がありますが、必ずしも皆がおもしろいと感じる本とは限りませんから、内容を確認せずに決めてしまうのは避けてください。それよりも、世代を超えて名作・古典と呼ばれる本を選ぶのが良い本に出合う最短ルートです。昔から読み継がれるのにはそれだけの理由がありますし、保護者自身が子どもの頃に感動した本をすすめれば、「お母さんが好きだった本を読んでみたい」という気持ちにもなるでしょう。

 

特に低学年は、自分で決めるのがまだ難しいため、子どもの意見を聞きながら、保護者が選んであげていいと思います。また、読み慣れていない子どもは、一冊を読み終えるだけでひと苦労ですから、なるべく薄い本を選びましょう。

 

 

ジャンルは何でもOK! 絵本や写真集もおすすめ

 読書感想文の本は、物語を選ばないといけないと思っているかたもいますが、特別な指定がない限り、ジャンルは何でもよいと考えてください。ノンフィクションや伝記でもいいですし、文字をたくさん読むのが苦手なら、絵本や写真集でもいいのです。

 

例えば、私が中学年におすすめしている絵本『アンジュール—ある犬の物語』は文字がなく、絵を追ってストーリーを読み取っていく物語です。読むのに想像力を要するため、逆に難しい面もありますが、とても心を打たれる物語ですし、文字がないからこそ、自分の言葉で感想文をつづることができるでしょう。

 

このように「どの本でもよい」と考えると、選択の幅が広がって、おもしろいと思える本に出合える確率は高まります。

 

 

本選びを本の魅力を伝えるきっかけにしよう

 普段、あまり読書をしない子どもが読書感想文のためだけに本を読まされるのは、苦痛に他なりません。無理強いされて、ますます本嫌いになるおそれもあります。何とか読書感想文を本のおもしろさを伝えるきっかけにしたいものです。

 

そのために、ぜひ読書感想文の本を選ぶために、お子さまと一緒に書店や図書館を訪れてみてください。保護者が「こんな本もあるよ」と教えることで、いろいろなジャンルの本があることに気づき、本への興味が高まるきっかけになるでしょう。一緒に探すうちに、「この本の感想文を書いてみたい」という気持ちになってくれたら、しめたものです。

 

インターネットが隆盛する今の時代に、本好きであることの利点はどこにあるのでしょうか。確かに、今では少しわからないことがあると検索して調べられますし、テレビやゲーム、インターネットの映像や画像による情報はインパクトが強くて説得力があります。たくさんの読書をベースとした作文について教えている私自身、文字を主体として情報を伝える本の役割について再考することがよくあります。他の媒体にはない本の価値の一つは、読むために自分でイマジネーションを立ち上げる必要があるということです。

 

例えば、原作を読んでから映画を見て、「ちょっとイメージと違うな」と感じることがよくあります。これは、文字を読むことを通して、自分だけのイメージをしっかりと想像している証です。このように読書によって想像力を働かせることにより、考える力や想像する力、またアウトプットする力が伸びていくのです。読書感想文の本選びが、奥深い本の世界への入り口となることを期待しています。

 

 

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プロフィール

工藤順一

工藤順一

国語専科教室代表。1949年青森県生まれ。大手学習塾講師などを経て、1997年、国語専科教室を設立。読書や作文の指導を通して、本好きな子ども、自分で考える子どもの育成に努める。『書きこむだけで読書感想文がすらすら書ける』(監修/合同出版)、『これで考える力がぐんぐんのびる!! 国語練習帳』(合同出版)、『文書術—読みこなし、書きこなす』(中央公論新社)など著書多数。

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