塾に通わずに実力をつけたい!賢い家計の節約術
- 教育費
学習塾の夏期募集広告が目にとまる時期になりました。長い夏休みの学習計画に頭を悩ます保護者のかたもいらっしゃることでしょう。そこで今回は、学校以外の補助学習費について考えてみたいと思います。
補助学習にいくらかかる?
社会情勢の不安などからあらゆる費目の値上げラッシュが続き、家計の支出が増えています。そのようななかでも子どもの年齢とともに教育費は増えていき、いったんかかってしまった教育費は節約がしづらい費目です。
文部科学省「子供の学習費調査(2018年)」によると、家計から支出した学校外での年間補助学習費は、表1の通りです。平均額なので必ずしも実態に即しているとはいえませんが、学習手段別に学年ごとの推移がわかり、どの時期に費用がかかるのかを知ることができます。
補助学習費の区分
表1 学年別補助学習費
学習塾にかかる費用は群を抜く
予想通りの結果ではありますが、最もリーズナブルな学習手段は、参考書や問題集での「家庭内学習」。次に通信教育を含む「家庭教師等」。「学習塾」は重い負担となっています。
「家庭内学習費」は就学時の学習机などの購入費を含んでいるため、例外的に小学1年生が高額になっています。全体としては、私立小学校と私立中学1年・私立高校3年次を除けば、いずれの教育段階でも年間1万~2万円で推移しています。
通信教育が含まれる「家庭教師費等」では、私立小学校高学年、私立中学2・3年次以外は年間1万~2万円程度で、参考書などで学習する「家庭内学習費」と同程度に抑えられています。ただ、学習手段として家庭教師は高額で、低めに見積もっても1時間2,000円程度はかかりそうです。一方、通信教育は1カ月数千円からが目安とすれば、この区分は主に通信教育費と考えるのが、現実に近いのかもしれません。
「学習塾費」は、集団・個別の指導形式や授業回数により費用は異なります。学習手段のうち、この学習塾費がほぼすべての学年で最高額になっており、なかでも公立中学3年次が突出しています。高校受験のために塾通いをしたり、夏期講習や冬期講習などで授業数が増えたりという事情がみて取れます。
家庭内学習、通信教育、学習塾のメリット・デメリット
3つの学習手段について、特徴をまとめたものが表2です。
学習塾は、以下などのさまざまなメリットがあります。
- (1)指定の教材を使って講師が指導してくれるので、教材選びの必要がない
- (2)通うことで学習時間やペースの確保ができる
- (3)その場で疑問が解決できる
デメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
- (1)高額なこと
- (2)夏期講習や冬期講習は別料金で費用がかさむこと
参考書や問題集を主体とする家庭内学習は、教材選びの情報や学習計画のノウハウ、計画を立てて実行する意思の強さなどが必要です。アドバイスしてくれる人を見つけることや勉強の能率面での不安は残りますが、最も経済的な手段です。
通信教育は学習塾と家庭内学習の中間的なもので、費用を抑えつつ指導を受けることもできます。コロナ禍でオンライン授業や自習を経験した子どもたちは、自宅で課題に取り組むことに慣れてきたことでしょう。学校の宿題だけでは少し不安な時や自分のペースで勉強したいという時に、便利な手段といえます。
表2 塾、通信教育、参考書学習の特徴
補助学習費を抑えつつ、子どもの「実力」を育む
学校外の補助学習費は、どこまでかけるべきか悩ましいものです。物価の上昇で家計の支出が増える中、継続的に必要になる費目は、よく考え選ぶことがますます重要になります。子どもの教育を長いスパンで考えると、子ども一人ひとりに対して、進学の節目に必要な教育資金を用意することが優先されます。
冒頭「表1 学年別補助学習費」の推移から、来るべき負担増の時期に備えて、メリハリのある補助学習費の使い方について考えてみましょう。今は、勉強の習慣をつけたいのか、学力低下を防ぎたいのか、学びの好奇心を伸ばしたいのか、受験対策をしたいのか、子どもの教育段階を考慮しながら目的をはっきりさせると、自ずと答えは見つかりそうです。
夏休みは子どもの自主性を促す機会でもあります。学校の授業では、生徒が主体的・能動的に学習する「アクティブ・ラーニング」が取り入れられるようになりました。子どもに身に付けてほしい本当の実力は、目の前の課題に粘り強く取り組む姿勢、その成功体験から得られる自信ではないかと考えます。必要に応じて手を差し伸べながら、家計にやさしい夏休みの学習計画を考えてみましょう。
出典:
文部科学省 平成30年度子供の学習費調査(調査結果の概要)
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00102.html
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