大学でも朝食をとる者ほど生活が充実 学力・意欲とも関係‐斎藤剛史‐

毎日朝食をきちんと食べる子どもは、そうでない子どもよりも学力が高いケースが多いということを、これまで当コーナーでも紹介してきました。しかし、朝食の大切さは、子ども時代だけに限らないようです。日本私立大学連盟(私大連)の「私立大学学生生活白書2015」の調査によると、朝食をきちんととる学生ほど大学生活が充実していると感じている者の割合が多いという結果が出ました。

私立大学生のうち、朝食を「毎日とる」という者は60.7%にとどまり、8.8%が朝食をまったく「とらない」と回答しています。そして、朝食を「毎日とる」という学生と、まったく「とらない」という学生の調査結果を分析したところ、大きな違いがあることがわかりました。学生生活の充実度を見ると、「充実している」と回答した者の割合(「充実している」「まあ充実している」の合計)は、朝食をとっている学生が78.4%だったのに対して、まったくとらない学生は73.2%と低くなっています。また、自分が所属する学部・学科に満足している者の割合は、朝食をとっている学生が73.1%だったのに対して、とっていない学生は66.6%でした。
このほか、授業科目を選択する際に「教養が身につく」「知的刺激がある」などを基準に授業を選ぶのは、朝食を毎日とる学生のほうが多く、逆に、「単位認定が緩やか」「卒業単位数を満たすため」などを基準にすると回答したのは、朝食をとらない学生が多くなっています。さらに、課外活動に積極的に参加しているという者の割合は、朝食を毎日とっている学生が53.4%だったのに対して、朝食をとらない学生は46.4%でした。

これらの結果について、私大連は「朝食を食べる生活習慣を身につけることと、有意義な学生生活の間には相関関係がある」と説明しています。朝食をきちんととる子どもは学力が高いという現象は、単に朝食をとるという行為だけでなく、早寝・早起きなども含めた生活習慣全体がきちんとしていることにつながります。子どもが高校を卒業すると、だんだんと保護者の目が届かないことも多くなりますが、朝食を毎日とることなどを通じて子どものころから身に付けた生活習慣は、大学生になってもよい効果を出し続けているといえそうです。

一方で、気になる結果もあります。学生の収入では、保護者からの援助が減り、代わりにアルバイト収入が増えています。課外活動をしない理由のトップは「アルバイトと両立できない」で、アルバイト収入を趣味などに充てる学生は減少しているにもかかわらず、生活費や学費に充てる学生の割合はほぼ横ばいでした。朝食を毎日とらない学生の中には、生活習慣の乱れだけでなく、学費や生活費などの負担のために食費を切り詰めている者もいるとも予想されます。

子どものころから家庭できちんとした生活習慣を身に付けると同時に、返済の必要のない給付型奨学金の創設など、安心して大学生などが学べる環境をつくることも重要だといえるでしょう。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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