不登校だけでなく「わが子の段階」を知ることから──蟇田 薫さんのセミナーをふり返る【マンガでセミナーダイジェスト#7】

「不登校ライフナビ」で毎月開催しているオンラインセミナーは、各分野の専門家をゲストにお迎えし、視聴者との双方向のやり取りも魅力のひとつとなっています。その内容をマンガでふり返るのが「マンガでセミナーダイジェスト」です。

今回ご紹介するセミナーのテーマは、「不登校・若者支援から見えてきた『保護者の関わり方』 ~未来を見つめる 3つのキーワード~」。講師に認定NPO法人育て上げネットで家族支援を担う蟇田(ひきた) 薫さんをお迎えし、蟇田さんの豊富な支援活動から、家庭でできる子どもとの具体的な関わり方についてお話いただきました。
※マンガの肩書はご講演当時のものとなります。

子どもの不登校に向き合っている保護者は、子どもへの接しかたはもちろん、「このままで将来はどうなるのだろう?」と悩みを深めるあまりに孤独になってしまうことがあります。蟇田さんは不登校の当事者だけでなく家族全体を支える立場を採り、システムズアプローチを用いて「わが子の段階」を把握し、段階に応じた関わりかたについて解説してくれました。客観視点をつかって状況を理解することで、具体的な関わりかたが見えてきました。

なお、マンガに登場する保護者像は実在の特定の個人ではなく、アンケートの結果に基づき平均的なケースを想定したモデル人物となります。

この記事のポイント

    「待つ」だけでなく、待ちながら準備する。保護者のセルフケアを忘れないで

    不登校の子どもを「見守ることが大切」というお話はよく聞かれるところですが、ただじっと見守るだけではなく、蟇田さんは「子どもの変化を待っている間にできることを進めていくことが大切」と言います。情報を集めて選択肢を整理したり、学校や支援機関のしくみを調べておくことで、状況が動いたときにすばやく対応できるからです。

    確かにこれなら、「待つ・見守る」と言った一見して停滞しているように感じてしまいがちな状態にも、確かな前進を感じることができますね。

    同時に、「保護者は自分自身の息抜きや楽しみの時間も確保しましょう。孤立して待ち続けると消耗してしまい、かえって関わりが難しくなってしまいます」とも。必要な場合は医療機関専門家にも相談するなど、家庭の外に問題を出すことはとても大切です。

    【参加者のご感想】 

    ・保護者はどうしてもできることがないのか焦ってしまう。待つことが本当にしんどいけれど、心に留めておこうと思いました。

    ・世の中の「待ちましょう」という流れがつらかったのですが、ただ「待つ」のではなくてやれることがあると思いました。

    第三者の関与は、関係をほぐす大きな力になる

    「だけどあくまで親子、家庭の話なので...」と、外部に相談することをためらうかたも少なくないようです。

    学校の学年主任やスクールカウンセラー、民間の家族支援窓口など、第三者が入ることで親子双方の、「言いにくい本音が出やすくなりますよ」と蟇田さんは語りかけます。

    部活のトラブルや学校対応の調整も、第三者を介すことで解決の糸口が見つかることが少なくありません。保護者だけで問題を抱えこまず、外部の力を適切に活用することを遠慮しないことです。


    対話の技法(確認・待つ・書く)を工夫する

    子どもとのコミュニケーションの仕方や関わりかたでも、参考になるアプローチを教えていただきました。思春期に差し掛かり、ただでさえ親子での対話が減る傾向もあるため、蟇田さんは「対話の技法を工夫してみて」とアドバイスしました。

    保護者や大人が勝手に話をまとめたり結論を急いだりすると、子どもは身構えてしまいます。まずは「あなたの話を私はこう受け取ったけど合ってる?」など、「こちらの理解を確認してみるような話の仕方をおススメします」。これはすぐに使えそうですね!

    また、子どものペースを尊重し、話の途中で遮らないこと。そして、返答がすぐ来ないことに焦らず、一定時間(目安として30秒ほど)待つことが効果的だとか。また、口頭で答えづらい子にはアンケートをつくって用意してみたり、書面にすることで準備時間を与えてあげるなど、伝えかた・聞きかたを柔軟に変えていくとお互いの理解を深めていくことができるそうです。

    【参加者のご感想】 

    ・夫婦での対応の差があり悩んでいましたが、「家族全体」という見方をしてみようと思いました。

    ・母親である私が楽しんで生きていいのですよね。機嫌よく生活することにトライしてみます。

    出発点は「わが子の段階」の確認から

    不登校は家族全体でとらえ、「わが子の段階」を把握して段階に応じた対応をすることが出発点です。そして、保護者は日常的に「聴く・尋ねる・待つ」の姿勢でスタンバイをしながら、日々の食事や一緒に共有できる楽しみの種を見つけていきましょう。

    多くのかたが「待つ時間のしんどさ」を挙げているように、待つ間は情報を集めたり保護者自身のセルフケアをしつつ、視野をほんの少しでも外の世界にも向けていくことが大切ですね。

    蟇田 薫 ひきた かおる

    認定NPO法人育て上げネット プロジェクトマネージャー 産業カウンセラー、家族相談士 

    都内短大卒業後、1982年日本航空株式会社入社。国際営業などに携わり、その一方で組合職場委員、執行委員、東京支店副委員長として社員の労働、家族問題など相談に応じていた。2005年退職。 2010年に認定NPO法人育て上げネットに入職。 かわさき若者サポートステーション所長として、ひきこもり、ニートの交若年無業者の就労支援に携わる。若年者就労基礎訓練プログラム「ジョブトレ」経て、あなたと家族のアドバイザー「結」を統括 不登校、ひきこもり、ニートの子どもの悩みを抱える家族の相談に応じている。

    あさぎエマ

    エッセイ漫画家・イラストレーター。2017年生まれ・2019年生まれの兄弟を子育て中。会社員・公務員などを経てフリーランスに。X(旧Twitter):@Emma_Asagi

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